"XERO"という胎動──「ULTIMA」というアルバムはlynch.を「何者でもない何か」にした
lynch.の破竹の勢いが止まらない。
3月18日に発売されるアルバム「ULTIMA」からのリードトラック"XERO"(と書いてゼロと読む)のMVのYouTube再生回数はこれを書いていた3月9日現時点で4万回を超え、今日3月14日現在の時点では8万回を超えた。
XERO / lynch.
この楽曲にはLUNA SEAのRYUICHIがコーラスで参加していることが葉月のTwitterとRYUICHIのブログで発表された。
その話題性ももしかしたらあったかもしれない。だけど肝心の楽曲がかっこよくなければ公開から3日でここまで再生数は伸びない。
"XERO"は葉月の艶のある歌声にヘヴィロックとサビのループするキャッチーなメロディーが見事に融合した良曲。これこそが求めていたモダンヘヴィ。
この曲を聴かない理由がない。そのくらい自信を持って人に勧められる。
3月9日月曜日。この日の早朝"XERO"のMVを見てから、ふと思い立ってギルガメッシュのライブ映像を見た。彼らが2016年7月10日に解散してから3年半以上という時間が経過した。それでもこの日までどうしても見られなかった。
久々に彼らのライブ映像を見た。こんなにかっこいいバンドが今は存在しないなんて。嗚咽なのか悔しいのか何なのか何度か吐きそうだった。正直これを書いている時も吐きそうだった。でも楽しそうな彼らの姿に見ているこちらも楽しくなる。テンションが上がる。
(BATTLE ARENAというイベントでドラムのЯyoさんがセットから立ち上がり『もう喧嘩は止めようよ!』とイベントのコンセプトを根底から覆す言葉を叫んだのが今でも痛快で大好きです。)
3年半以上という時間は長いと感じる人は多いかもしれない。でもギルガメッシュのライブ映像を見られなかった3年半以上という時間を誰にも馬鹿にされたくはない。
ふと思う。ギルガメッシュが今でも活動を続けていたらどんなバンドになっていたか。今でもしょっちゅう考える。
正直ヘヴィロックは苦手な方で、じゃあ何でlynch.やギルガメッシュを聴いているんだと聞かれれば答えは簡単。「かっこいいから」。
そして昨日3月13日。「ULTIMA」から今度は"IDOL"がYouTubeで公開された。こちらも公開から半日で再生回数1万回を超えた。
IDOL / lynch.
へヴィーだけどキャッチー。
相反するこの2つの要素を繋いでいるのは間違いなく艶を増した葉月の歌声。
〈愛しの姫君よ〉という歌詞が好き。
かつて「歌詞で伝えたいことはない」なんて音楽誌のインタビューで答えていた葉月の歌詞が注目されるようになるなんてお母さんうれしいよ(?)。なんて何だか母のような心境になってしまった。歓迎されているのか〈愛しの〉かは知らんけど。
世の中がlynch.に気づき始めた。"XERO"はその確かな胎動。確かな手応え。始まりの合図。
最後に今年2月8日の葉月のTwitterでの言葉を借りて。
「かつてない、何者でもない何かになろうぜ、みんなでさ」
"XERO"を聴いて確信した。次の「ULTIMA」というアルバムはlynch.を「何者でもない何か」にした。