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夫公認彼氏とセックスレスの話


先日、公私ともにお世話になっているコミックエッセイストのハラユキさんより、献本頂いたのがこちらの本!

衝撃的なタイトルですが、中身を読み進めていくと
けして衝動的に「婚外恋愛しちゃおう~」という感じではなくて
むしろ、誰よりも真剣に夫婦の性について向き合い、話し合いを重ねてきたからの結果なのだろうし、公認になったのも納得がいくお話でした。
(逆に、公認ではなく婚外恋愛をする方のほうが多いだろうし…
「社会の箱にいる人たち(社会の箱の意味は漫画を読んでみてください)がやっていることは私たちと変わらない。私たちはただ隠してないだけ」
という言葉は確かにそうだなと思いました。)

あ、ただ、最後の怒涛の『その後の話』はさらに衝撃的過ぎて
「し、新時代だなぁ~っ」という感じ(笑)

共感する部分もそうでない部分ももちろんあるけれど、私は奥さん側のミカさんの
「母親に引け目を感じていた」部分や(うちの両親もバリバリの公務員、なんなら私以外兄弟も皆公務員一家)
「毎日娘を同じ時間に幼稚園に送り出すことが苦しい」部分
はすごくよくわかるし、世間の常識にはまりたい、完璧な自分を演じたいという部分もとてもわかるのです。
そこから、自分を解放していき、夫公認彼氏につながるわけですが…

思うに、人間の三大欲求である睡眠欲、食欲、性欲に関して
いちばん相手と関わらないといけないのが性欲で、そして結婚すると必然的に性欲は自分ひとりで解消するかパートナーと解消するしかない(日本の法律…というか世間のルールでは)のに、そもそも性について向き合う機会が少なかったり、夫婦ですり合わせをしないまま一緒に生活をして、家族になって一生を添い遂げる…というのはなんとも無理ゲー感があるなぁと感じます。
特に、妊娠出産が入ってくると、わかぴょんさんみたいに
「家族としてしか見れない。妻とは恋愛とかキス以上のスキンシップは無理」(その逆パターンも然り)
になる場合もあるわけで。
でも、今の日本は恋愛結婚が主だから、恋愛できない=セックスできないの考えの人だと、自分がそうでも相手がそうでも、一緒に夫婦を続けていくのはしんどいだろうなと思います。

以前、私が作った性のマトリックス表があるのですが

みかさんは性欲が強めでセックスは愛情表現だと思っている傾向にあり
わかぴょんさんは性欲は弱めでセックスは愛情表現だと思っていない傾向があると感じたので、そもそもの価値観があっていなかったのかもしれないし
でも、どちらかの価値観を尊重するとやはりどちらかが我慢することになるわけで…
夫婦のセックスの問題ってどうしても譲れない価値観や、下手したら相手の尊厳を傷つける(無理やりしても、しなくても)問題なので、非常にデリケートです。

ありのままの自分をさらけ出す行為ととらえる人もいれば、ただの性欲の解消、ありのままの自分はそこでは開放しないという人もいます。

(私は、昔わかぴょんさん側の立場に立ったことがあったのですが、自分が相手を性的に見ていないのに、相手から性的に見られていて、一緒に生活するってかなりきついです。
相手は「セックスするパートナー」だと思っているからなおさら、言い方はきついですがレイプされそうな相手とずっと一緒に暮らしているみたいな感覚になるのです。最終的に、家の中で常に恐怖を感じる状態になってしまい安心できる場所じゃなくなったので、お別れしましたが…)

夫婦は
「価値観が違うことより価値観が違うことを認めあえることの方が大事」
という言葉を最近聞いて本当にそうだなと思うのですが
こと、セックスにおいては完全に価値観があってた方が揉めない!
逆にほとんどの価値観が合わなくても、ここだけ合ってて更に体の相性も(お互いしたいという価値観の場合は)合ってたらたぶん大丈夫!と思っています。

そのことを踏まえて、お二人の場合は話し合いで解決したからこその『夫公認彼氏』という選択だったのだろうと納得します。

個人的に、お二人が話し合いの中で最終的にすごく良い落としどころをつけていたなと思ったのは
「私はあなたに〇〇されると〇〇のように感じるので、〇〇の行動をとります。その上で、どうしますか?」
というのを前提にしていたこと。
人の気持ちはコントロールできないし、変えられない。
でも、自分が起こした行動によって相手がこう感じ、変わるということを相手が提示してくれているわけですから、その意見を聞いたうえで自分が変わることはできるのです。

私たち夫婦はよく上記のような話し合いをしているのですが、そこでお互いに納得し、折り合いをつけていくので、自分の行動に責任が取れています。
自分の行動によって相手がどう変わるかを提示してくれているので
「自分の行動は変えないけど相手には変わってほしい」
はナシでしょうし、話し合いが成立していません。でも
「じゃあ、自分が変わるよ」
とすんなり納得が出来ないこともあります。
というか、だいたいがそうだと思います。
どちらも譲歩できないから話し合いしているのでしょうから。
なので
「自分はここまでは出来るんだけど、その場合だとどうなの?」
とか
「あなたが〇〇の行動を取るんだったら、私は〇〇に感じるし、逆に〇〇になるかもしれないけどどう?」
などと交渉します。
そうやって、お互いがどこまで譲れるか、どこまで許せるか、落としどころを探っていくのだと思います。

結局、自分の意思も尊重したいししてもらいたいけど、そこで相手の意思が尊重されていなければ、話し合いは成立しない。
という前提をお互いに持っていることが大事だと思います。

相手への信頼と、思いやりがないとできない話し合いです。

真剣に夫婦の形、家族の形に向き合って、チャレンジしてきたお二人のお話をとても興味深く読ませていただきました。

セックスレスがテーマではありますが、根本は、親からどう愛されてきたかとか、自己評価への考察や、自分の性に対する罪悪感(性と罪悪感がそこで結びつくんだ~なるほど~)とか、お二人の気持ちを丁寧に扱っていて
なによりも、読んだ感想は人それぞれ、読者に委ねられているという部分が大前提で
「私の場合はどうだろう?夫婦関係はどうだろう?」
と考えるきっかけにもなるストーリー構成なのがとても良かったです。
本当に、感じ方考え方は人それぞれですもんね…

そして、家族の中で何に重きを置いているかも人それぞれ。特に子どもが産まれるとがらっと家族の形が変わります。

男性だったら
夫・父親・男としての役割
女性だったら
妻・母親・女としての役割
のどれを自分が一番大事にしてて、どれを相手に求めるのか
優先順位をつけなければいけません。
全てを満遍なくバランス良く、は、たぶん無理。

自分がパートナーに求める部分と相手が大事にしている部分が違わないようにすり合わせて
違っていたら(比率が変わったら)
相手に報告して、相違がないようにする。
その繰り返しなのだと思います。

我が家のパートナーシップ論はこちらに。


因みに私のTwitterアイコンはハラユキさんが描いてくれたものですありがとうございます!!

東洋経済オンラインで書いて頂いた家族写真(夫婦写真)の記事です!

夫婦って本当にいろいろあるけど
先日発表されたりゅうちぇるペコ元夫妻のように
形にとらわれない新しい家族の形がこれからどんどん増えてくるのでしょうね。

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