アイスブレイクの選び方 /ファシリテーション一日一話 その1
神戸空港についたら仙台行きの飛行機が遅れると表示があった。がーん、と一瞬思ったが「ちょうどいい、本でも書こう」と思い立った。
今年は辰年。年男の自分は48才になる。辰年は「起つ年」でもある。干支でいうところの4周回ったこのタイミングで、残りの人生、自分がやるべきことについて、思案していたところ。「過去5冊ぐらい本を書いてきたけれど、まだまだこんなもんじゃない。今の自分が書ける本を書いておこう」という気持ちになった。スカイマークの機材到着遅れのお陰である。
今回、書く本のタイトル「ファシリテーション 一日一話」はどうかな。毎朝、起きると同時に筆を執り(もとい、パソコンをひらき)、思い浮かぶままに書いてみようと思う。「飛行機が遅れたから書きはじめたファシリテーションの話」でもいいかもしれない。
アイスブレイクの選び方
明日は仙台で「アイスブレイク・100連発!」というワークショップをやる。アイスブレイクというのは、私たち場づくりをする人間たちの専門用語で「緊張をほぐす工夫」みたいなものを指す。はじめまして!の人たちが出会った時にある独特の緊張感を「アイス」と捉え、それらを一気に砕く「ブレイク」するゲームや遊びや体を動かす何かだったりする。緊張がほぐれ、お互いの関係性をつかみ、本題に入れる準備体操をする部分である。
どんなプロ・スポーツ選手でも、かならずウォーミングアップをする。それなしでいきなり全力疾走をすると体を痛めるし、チームワークもぎくしゃくしてしまうからだ。野球ならキャッチボール、サッカーなら軽いパスまわしにあたるだろうか。
会議や話し合い、ワークショップや学習会を進行する私たちファシリテーターにとって、アイスブレイクをどうチョイスするかが、腕の見せ所ともいえる。ストレッチの種類はたくさんあるが、全部やっている時間はないので、必要ないくつかをチョイスする、みたいな感覚に近いかもしれない。必要充分で、適切なものを選びたい。
ちょっと余談になるけれど、居酒屋にいくと「突き出し」といって、その店から挨拶がわりの小皿が出てくることがある。その小皿で「あぁ、この店はこんな感じなんだな」というのが伝わってきたりする。もしもコース料理を頼んだのであれば、前菜にあたるのがアイスブレイク。「お、ここの板前は、こんなに丁寧な仕事をするのね」と期待を持たせたり「あ−、今日のコースは春の芽吹きがテーマかな」と匂わせたりする効果も持ち合わせる。
なので、チョイスするアイスブレイクは、その後の会議や学習会のメインテーマに自然とつながるもの、メインディッシュへの食欲を誘うものだと、なおよい。参加者が体や心をほぐし、自然と本題に入っていけるものをチョイスしたいと思っている。それがなかなか難しいのだけど。
そのためには、いくつかのアイスブレイクのネタを知っている必要がある。僕自身もたくさんのファシリテーターの先輩方に、数多あるアイスブレイクを見せていただいた。その数はゆうに200や300を超えると思う。では、300あるアイスブレイク全部を場に出せばいい場になるかというと、そうではない。300あるなかで「今回、この場に相応しい1つ」を選び、さりげなく出すことが求められている。前菜は、メインディッシュを楽しむために出す。そんな気持ちで、よきアイスブレイクを選び提供できるようになりたい。さぁ、その勉強ためにも何処か居心地のよい居酒屋でも探すとするか。
2024年4月5日(金曜日)夕刻@神戸空港5番ゲート付近にて
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