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大学のオンライン講義をもっと楽しく参加型に

縁あって、2つの大学で「ワークショップ」や「ファシリテーション」の集中講義をお引き受けしています。毎年、超参加型の楽しい演習を展開しているのですが、今年は、コロナのおかげで「オンライン講義」に切り替わって、どうやって伝えよう?と考えていたところでした。

#大学生の日常も大事だ

でも指摘されてきたように、日本中の大学の授業はオンライン化され、講義と課題が出され続け,たくさんの学生たちが孤立しています。オンライン講義は、「講義内容に集中できるからよい」という評価もあるようですが、そのかわり学生同士でダベる時間とか、食事する時間とか、ふざけあう時間とか、先輩からあの先生の攻略法を聞かせてもらう時間や、異性とふれあってドキドキする時間が、、、ない。学生たちのなかには「対面授業を再開してほしいな」「せっかく大学にはいったのに友達も先輩もできない」「学生らしい時間を持ちたいな」と思っている方がたくさんいます。1年生なんかは、せっかく大学受験を乗り越えて入学したのに、キャンパスに一度も足を踏み入れてないという子もいるのです。

僕から学生に提示した集中講義のねらいは以下の3つです

1:同じ学校に通う学生同士、お互いのことを知る/仲良くなる
2:ワークショップとかファシリテーションってこんな感じなんだ、というのを体験を通じて理解する
3:ささやかなものでもいいから自分流のファシリテーションをやってみる


基本的な構造としては、初日は僕が進行してオンライン・ファシリテーションを体験してもらう。いくつかタイプの違うファシリテーションを皆に提示してみました。自己紹介っぽいもの、ゲームっぽいもの、話し合う系や、お互いの課題を解決するワークもやりました。いま思えばもっとはじける系もいれてあげたらよかったな。僕の芸域を広げないと、と思い反省。

2日目からは学生にバトンタッチ。「自分が考えたファシリテーションをやってみて。テーマはなんでもいい。失敗してもいい、何かのパクリでもいいから」とすすめたところ、次々に学生たちが、自分が考えたワークショップを展開してゆきます。

毎年、これがとても楽しみなのですが、学生達は僕が想像しえないような角度からのファシリテーションを見せてくれます。僕自身が、とても参考になる。

以下、大学生が考えてくれたワークショップのタイトルのいくつかを紹介します。

・小さな子どもだったとき記憶に残っていること
・ばいきんまんがアンパンマンに勝つためには、何が必要か?
・あったらいいな、ドラえもんのこんな秘密道具
・象徴する漢字6文字をみて、どの人物かをあてよう
・虹にあと一色足すとしたら?
・改善すべきコミュニケーションの例を見せるよ、どこが悪いかな?
・自粛期間、何してた?
・自粛期間をふりかえって漢字ひと文字で表すと?
・コロナ渦での行動。あなたのボーダーラインは?
・過去にもどれるとして、やり直したいことは? あるいは、もう一度体験したいことは?
・みんなの故郷を自慢してください
・この市のいいところは? 何を改善すると、若者が住みたい街になる?
・将来行きたい国は? そこで1年過ごすとしたら何したい?
・これから、やりたいことは?

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アイスブレイクとして優れているものもあれば、コロナ期間だからこそのテーマもあり、まちづくりや、未来をつくる素晴らしいワークもいくつもありました。だいたい「バイキンマンがアンパンマンに勝つために」っていうテーマ設定が、ほんわかしてて、すごくいい。この子なんか、自宅の壁に模造紙を貼って準備してくれましたよ。あぁ、いい子だ。出てきたアイデアは「アンパンマンが弱る梅雨時に、カビるんるんに攻めさせて、パン工場を営業停止にする」とか、結構えぐいけど。

みなさん、これリアルのワークショップではなく、オンラインでやってのけたのですよ。素晴らしいなと、僕は思います。

学生たちは、自分で考えたささやなかワークショップの卵のようなのを、勇気をもって、次々発表してくれます。自転車に乗るのと同じで、先生からいくら講義を聞いても、上達するには、やっぱり自分でやってみるのが一番。失敗してもいい。ドキドキしても、自分なりにやってみて、参加した学生から、あーだ、こーだ感想をいってもらって、の3日間でした。

学生たちからは、こんな感想が帰ってきました。

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なかでも、「オンラインでのワークショップは、みんなでワークショップをつくり上げていくことが、対面で行うよりも一層重要になると思いました!」のコメントは秀逸だな、と僕は思います。なかなか通じにくい状況だからこそ、お互い気持ちを合わせて場をつくってゆくんだな。

加えて、来年の1年生に僕のオンライン講義がどんなんだったかを紹介する文章書いて〜(希望者のみ)とお願いすると、、

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という紹介文を書いてくれた。ふだん、いかに眠くてつまらならい講義が多いかが、伺えますまぁ、大学の先生たちも、急にオンライン化して困っているだろうな。もっともっと、オンライン講義でも参加型で楽しいことができるから、そのへんを伝えられるといいな、とも思いました。

この子たちは、ある意味「オンライン・ネイティブ」に育ってゆく世代です。このツールの可能性を最大限活かして、あたらしい境地をひらいてゆく第一世代かもしれません。苦難の時代を生きる、若者達に幸あらんことを。そして、いつか、一緒に仕事をしよう。

君たちと将来いっしょに仕事をするのが、僕は楽しみです。


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