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うあーフェスvol.2レポート③大村 香琳
曲がり角の狭く暗いところで、大村さんが座っている。手元に本とヘルメット。本を開き、一節を読む。「身体は鑑賞されるものではない」といった内容。読み終わるとペンを取り出して、自分の左手?に模様を描き始める。指先の方から一本の線が始まって、ぐるぐる曲がったり、塗りつぶすように重ねながら、また指先に戻る。今度は、指先からヘルメットにその線をつなげ、ヘルメットにも模様が描き込まれていく。曲線で囲われたところにチョンチョンと点が打たれる。スマートフォンを自分で手に取り、音楽をつける。その後、踊りが始まる。ゆっくりと足が上がる。鑑賞者側から見て、体の側面が見えている。体を伏せて、スッと立ち上がる。
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さて、鑑賞したことの記憶はかなり曖昧なもので、実際この通りだったか、あまり自信はない。とはいえ、「本を読む」「体が模様で埋められていく」「ヘルメットをかぶる」「スマートフォンの音が鳴る」
そうしたイメージの連なりは、自分の体をカモフラージュしてどこか後ろの方へ退かせるように働いているように思われる。
それは通常、ダンサーが狙うことではない。そして、そのような狭間で体を見えなくするにも技術がいることだ。
Aokidさんとメンバーが作り出した「あときとた」の空間は、明るいジャングルのようだった。そこに人がいてもいなくても、踊っても踊らなくても、賑やかなジャングルである。このパフォーマンスで展開されたものは、確実にそこにつながっているが、むしろ暗がりのジャングルで、1人で作るサイドB、裏面のような空間だろうか。
パフォーマンスが終わってお客さんの1人が「あれちょっと模様書きすぎじゃない?大丈夫?笑」と大村さんに伝えていたのが面白い。心配や気遣いが控えめに生まれる空間だった。
津田 啓仁
文化人類学者(秋田公立美術大学博士課程在籍)
企業で人類学を取り入れた業務の開発に従事したのち
現在は秋田を拠点に干拓地・八郎潟を取り巻く自然環境について研究しています。
踊りやパフォーマンス、俳句、映像等の表現行為にも関心があります。
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うあーパフォーマンスフェスティバルvol.2
2024年2月4日(日)
秋田市文化創造館 スタジオA3