親子軸を定めるメンタリング術:後編【その本当の効果とは?】
ロシア語も話せなければ、ロシアに行ったことすらない。
そんな自分の状況に、「自分にはロシア語学科を志望する資格がないのではないか?」と自信を失ってしまう受験生のエピソードを綴った記事の続きです。
<参考記事>
親子軸を定めるメンタリング術:中編【上智大学に出願した高校生の実話】
面接シミュレーション時の印象的なあるやり取り
じつは、ある日を境に、この受験生の中に確信が生まれました。
そう感じたのは、私が面接官役となり、本人と面接のシミュレーションを行なった時です。
それは、こんなやり取りでした。
質問「なぜ、我が校の推薦入試を受けようと思ったのですか?」
本人「推薦入試を受けることで、自分にとっての学ぶ理由が何かを明確にし
た上で入学したいと思ったからです。」
質問「明確になりましたか?」
本人「とても明確になりました。それと同時に、自分の未熟さにも気がつき
ました。だからこそ、自分が色々な人のおかげで存在できていること
を、心から実感できました。これは本当に大きな収穫でした。」
文字だとちょっと伝わりにくいのですが、このやり取りには、彼の心からの強い実感と信念がありました。
そして、ご家庭で、お母様がせっせとロシア料理をつくってくださっていたのが、まさにこの頃だったのです。
私が感じたことは、彼の中に芽生えた本質的な「自立」です。
メンタリングから生みだされる本当の資質
AO・推薦入試は、一見すると自分の強みや能力、可能性をアピールする試験であると捉えられがちです。
・自分にはこれだけの資質がある
・こんなことやあんなことが出来る
・自分とはすごい人間だ
そんな風に、さまざまな武器や鎧をまとって、受験に臨まなければいけないと、多くの人が考えていることでしょう。
もちろん、そうしたセルフプロデュースは必要ではありますが、「自分が一番」という、エゴイスティックな姿勢を植えつけてしまう危険もあります。
そうならないために必要なことが、実は、本当の意味での「自立」だと思うのです。
「自立」という言葉を辞書などで引くと、「他者の助けや支配を必要とせず、自分一人で物事を行うこと」と定義されるでしょう。
もちろん、これは正しい説明だと思いますが、私がこれまでAO・推薦指導を通じて感じている「自立」の定義は、やや異なります。
「自立」とは、おかげさまを知ること。
自分が立っていられるのは、そもそも、それを支える大地があるからです。
その大地が荒廃し自らの足場を失った時に初めて、その尊さを認識するような愚かさは、「自立」とは呼べないはずです。
目指すものに対してまだまだ未熟である自分を認識しながらも、だからこそ、他者の存在を受け入れ、自分を大切にするように他者も大切にしながら生きる。
ここに、「自立」の本質があるのだと思います。
他者に依存したり従属したりする関係とは全く異なります。
AO・推薦指導には、メンタリングというメソッドが取り入れられるケースが多く有ります。
ただし、本当の意味のメンタリングとは、「自立」を醸成するプロセスを示すものであって、会話術やコミュニケーション術のようなノウハウではないのかもしれません。今回ご紹介したエピソードは、私にとって、そんなことを考えさせられる事例でした。
きっと、親子だからこそ実践できるメンタリングは、きっと様々な形があることと思います。
親子によるメンタリングが、真の意味での「自立」の原体験となれば、それはとても素敵なことだと思います。
次回は、このメンタリングのアプローチをさらに具体化するための「ポートフォリオ」について、お伝えする予定です。
ぜひ、お楽しみに。
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