三世代家族と子供の学力の不思議:中編【“姥捨山”の昔話から】
<参考記事>三世代家族と子供の学力の不思議
前編【幸福度の関係】
前回記事で、三世代家族の環境で育つ子供の学力が高く、幸福度も高くなるという事例について、福井県のデータを基にご紹介しました。
祖父母がいることで、両親の働く環境や子育てなど、家族をバックアップする安定感が増す効果はもちろんですが、私は、さらに見えない力が三世代家族にはあるように思います。
それは、多様なライフステージが織りなす人財ネットワークこそが、子供の成長にとって非常に効果的なのではないかということです。
特に、シルバー世代から受け取れる、何か特別な知恵のようなものがあるのではないでしょうか。
ところが、いわゆる各世帯家族の子供たちにとって、家と学校の往復を繰り返す生活だけでは、ほぼ同じ世代との関わりに止まってしまいがちです。
塾や予備校に通っていたとしても、そこで出会う講師やスタッフが祖父母以上の世代というケースはあまりないはずです。
話は飛びますが、「姥捨山(うばすてやま)」の物語をご存知でしょうか。子供の頃に、アニメ「にほん昔話」のテレビ放映でご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昔々、ある国に、高齢になった年寄りを、口減らしのために山に捨てなければならないという決まりがありました。
年老いた母親を山に捨てるため、息子が背中におぶって山を登る途中、母親は息子が帰り道に迷わぬようにと、木の枝を折っておきます。
息子はそんな母親を捨てきれず、家に連れて帰り、母親をそっと床下の隠し部屋にかくまいます。
そんなある時、この国が隣国から次々と無理難題をしいられ、「解けなければ攻め込むぞ」と脅されてしまいます。
困ったお殿様は、国中に「良い知恵がないか」とおふれを出すのですが・・・。
それらの難題を全て解決に導いたのは、床下に隠された年老いた母親の知恵でした。それ以降、この国は、お年寄りを捨てることをやめ、家族みんなが幸せに暮らせるようになりました。
たしか、そんなストーリーだったと思います。
年長者が有している英知を継承する環境を守ることが、まさにそのコミュニティ全体の命運を決めるという寓話は、現代にも通じる教訓かもしれません。
私は、AO・推薦入試の指導の中で、極力、受験生に対して、「自身の祖父母からどんな影響を受けているのか」について考えさせる機会を設けるようにしています。
たとえ祖父母と一緒に暮らしていなくても、また、すでに他界されていて直接は話を聞けなくても、祖父母がどんな時代を生き、誰と出会い、何をしてきたのかについて、自分なりに思いや考えを巡らせることはとても重要なプロセスです。
一世代の間があるだけで、社会の構造も価値観もびっくりするほど違いがあります。
そのような変化の中を生き抜いている方々の知恵から学べることは、非常に大きいのです。
また、信頼を寄せている家族を通して色々な知見を得られることは、自分のルーツや自己理解の認識を深めることにも効果的です。
さらに、社会の変化や構造について、世代を超え長期的な視点で考察することは、「未来を見通す力」の育成にもつながります。
(後編につづく)
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