表現力の本当の鍛え方 :前編【サイバー空間に表れる姿】
こんにちは。日本アクティブラーニング協会理事の青木唯有(あおき ゆう)です。AO・推薦入試オンラインサロンのカレッジアドバイザーも務めています。
これまで長くAO・推薦指導に携わってきた私自身の経験から、AO・推薦に象徴される大学受験の大きな変化から見えてくる様々なことを、本ブログにてほぼ毎日お伝えしています。
このような情報や視点を、特に保護者の方に認識いただくことで、大学受験を通じて形成される親と子の自立した関係「親子軸」を育むヒントにしていただければ幸いです。
よく、「AO・推薦入試は、自己表現が上手だったり、皆の前でプレゼンテーションすることに慣れていたりするような、リーダー気質の人の方が有利ですよね。」というご質問をいただきます。
面接やグループ・ディスカッションなど、自己表現や他者とのコミュニケーションを伴う審査がありますから、「表現力」が必要になることは間違いない事実でしょう。
ですが、この力はもともと著しい個人差があると考えてしまうケースが、とても多いように感じます。
結論からお伝えすると、表現力は「生きる上での筋力」です。
一時期、専用のジムに通い、パーソナルトレーナーに正しい筋肉の使い方や鍛え方をレッスンしてもらう「筋トレ」がブームになりました。
ブームの初期段階は体重を絞るためのダイエット効果としての筋トレがプロモーションされていましたが、最近では、中高年のためのアンチエジングとしての「筋トレ」も良く耳にします。
実際、30歳を超えると人間の筋肉量は明らかに減り始め、80歳になると半分になってしまうそうです。どんなに運動神経が良い人でも、筋肉が衰えれば日常生活にも支障が出るはずです。ただし、筋力を適度に鍛えていれば、運動神経の有無にかかわらずに誰しも健康寿命を伸ばすことができます。
「表現力」もこれと全く同様です。
「表現力を身につける」ということは、「筋トレ」のようなもの。
才能や先天的な気質ではなく、鍛えれば誰しもが身につけられる人間としての根本的な力です。
そして、筋肉を鍛えることが健康寿命に影響するように、本当の意味での「表現力」は、人生をより豊かに生きる上で欠かせない「体幹」のようなものです。
さらにアフターコロナ時代には、WEBミーティングやSNSによるやりとりなど、ライブでの対面以上にサイバー空間での振る舞いやコミュニケーションがメインになる可能性が示唆されていますから、「表現力」そのものの定義も進化する可能性があります。
もちろん、そもそも「表現力」を発揮するということは、台本を準備し、一言一句覚え、それをそのまま読み上げれば良いわけではありません。
実は日本アクティブラーニング協会では、AO・推薦入試を受験する中高生を対象に、本当の意味での「表現力」を開発するためのプログラムを様々な教育機関で実施しています。
そして、このトレーニングは、現在全てオンライン上のサイバー空間で運営しています。
参加する中高生は、自宅からパソコンやタブレットなどで受講します。
また、日本アクティブラーニング協会のトレーナーもスタジオからオンラインによるワークを次から次へと繰り出していきます。
・・・その人間が持っている空気や雰囲気が伝わりにくいオンライン上で、本当に「表現力」が鍛えられるの・・?
多くの方が、そうした懸念を感じられるかもしれません。
ですが、実際はそうした制約があるからこそ鍛えられる「表現力」は、ライブでのトレーニングとは全く異なる効果があります。
取り繕った表現や作為的な振る舞いは、ライブ以上にオンラインコミュニケーションの方が如実に現れ、意図的で理屈だけの表現がいかに人の心を打たないかが暴かれてしまうのです。
であるがゆえに、その人が本当の意味で持っている衝動や直観から生まれる自在さを磨くことが、嫌が応にも求められてしまう環境がサイバー空間でのトレーニングであり、そこに「表現力」の本質があるように思います。
今回の記事では、そのトレーニング方法を具体的にご紹介したいと思います。
(中編につづく)