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AO・推薦入試は“チーム戦”?それとも“個人戦”?【自分を高める究極の方法】
こんにちは。日本アクティブラーニング協会理事の青木唯有(あおき ゆう)です。AO・推薦入試オンラインサロンのナビゲーターも務めています。
これまで長くAO・推薦指導に携わってきた私自身の経験から、AO・推薦に象徴される大学受験の大きな変化から見えてくる様々なことを、本ブログにて定期的にお伝えしています。
このような情報や視点を、特に保護者の方に認識いただくことで、大学受験を通じて形成される親と子の自立した関係「親子軸」を育むヒントにしていただければ幸いです。
※2021年度入試からAO・推薦入試は「総合型選抜・学校推薦型選抜」となりますが、本ブログでは便宜的に旧名称で記載しています。
受験は「チーム戦」でしょうか?
それとも「個人戦」でしょうか?
自分を支えてくれる先生や家族の存在があり、ライバルとなる仲間がいることで、自らの力を発揮し互いに高められるという「チーム戦」としての考えもあると思います。
一方で、勉強はあくまでも自分の努力が問われ、結果については当然自己責任ですから、「個人戦」であるとも考えられます。
「チーム戦」も「個人戦」も、受験にはそれぞれの側面がありそうです。
全く違う次元の話かもしれませんが、この「チーム戦」と「個人戦」のありようを野生動物の世界に置き換えるとどうなるでしょうか?
例えば、チーム戦を「群れ」を形成しながら集団で行動する習性だと捉え、個人戦は、個体が一定の距離を保ち互いの「縄張り」を守りながら行動する習性だと捉えてみます。
野生動物の世界では、「群れ」と「縄張り」のそれぞれの特性を、生存戦略として効果的に活用しています。
「集団」で群れることで、個だけでは見落としてしまうリスクなどを警戒することができますし、天敵に襲われたとしても多くの個体が生き残る確率が高まります。
反対に、同じ種であっても群れずに「個」で存在し、互いに程よい距離を保つことで限りある資源を分かち合えうことができ、これはこれでメリットです。
いずれにしても、「群れ」と「縄張り」の双方の戦略には、「種としての持続性を保つ」という共通の目的があるようです。
さて、ここでAO・推薦入試について話を戻します。
そもそも、なぜ大学はAO・推薦入試という、一人ひとりの受験生に対して非常に手間ひまをかけて選抜する方式を実施しているのでしょう?
コストをかけてでもこうした入試を行なった方が良いという大学の必然があるはずです。
大学によってその理由は様々だとは思いますが、まず挙げられる要素は、「大学の活性化」だと考えられます。
この効果は、偏差値的に「優秀な個人」をいくら採用しても決して期待できません。
具体的には以下の2点です。
●ペーパーテストの得点には表れない受験生の「個性」を重視する選抜により、大学に多様性をもたらすことができる。
●志望理由書などを作成するプロセスで、大学への「志望意欲=ロイヤリティ」が高まった状態で入学する一定の層がいることで、他の学生への良質な刺激となる。
AO・推薦入試による選抜プロセスによって、「学生の多様性」や「大学へのロイヤリティ」が高まり、学内の人財環境全体のエネルギーを向上させ、大学をより良い環境にできるということが、大学側にとっての大きなメリットなのです。
こうした効果が、「大学環境の持続性の高さ」に繋がるという点において、まさに野生生物の生存戦略と共通する本質があるのかもしれません。
ただし、AO・推薦入試には、従来の受験観にあるような偏差値を高める方法論としての「チーム戦」や「個人戦」とは異なる概念が必要になります。
それは一体どのようなことなのでしょう?
私が以前勤務していた塾で、当時担当していた生徒からこんな話しを聞いたことがあります。
その生徒が受験する大学のAO入試ではディスカッション審査ありました。
あるテーマについて5〜6名の受験生が議論する様子を、採用担当の教授が観察し、合否を判断するのです。
ある時、同じ大学のAO入試を受ける高校の友人から、こんなことを言われたそうです。
「ディスカッション審査のときは、あなたか、あなたが通う塾の人と同じチームになりたい。」
この友人は、別の予備校に通っていましたが、塾でのディスカッション指導の様子などを生徒から聞いて、
「この人たちがいる環境は、自分が高まりそう!」
と、本能的に感じたのだと思います。
たしかに、ディスカッション審査においては、「そのグループ全員が合格になる」というケース、反対に「そのグループ全員が不合格になる」というケースが少なからずあります。
もっとも悲劇的だったのは、ディスカッション審査が始まる前に、採用担当の教授から受験生たちにあるテーマについての意見を求められるというシチュエーションがあった際、最初の受験生が、
「特にありません」と答えたことをきっかけに、
それに続くように残りの全員も「特にありません」と答え続けた結果、
教授から、
「皆さんにとってディスカション審査は必要ないようですね。誰も意見がないのですから。」
と一蹴され、場の空気が凍りつき、全員が不合格になったという話しを聞いたことがあります。
誰か一人でも、その場の空気を変える存在がいれば、もしかしたら結末は違ったかもしれません。
私は、AO・推薦入試においては、「その場を良い環境にするキーマン」となることが、最大の効果を発揮すると考えます。
ですので、これまでの指導においても伝え続けたのは、
「あなたの周りを良くしなさい。それが、あなた自身が良くなることに必ず繋がるから。」
というメッセージです。
大学側が「この人財が入学したら学内に良質な影響を与えるな。」と感じれば、結果として合格になる可能性が高いのです。
ですので、AO・推薦入試は、仲間同士で高め合う「チーム戦」ともとれますし、個性を徹底的に磨く「個人戦」とも取れます。
ただし、その前提には「周囲の人に良い影響を与える存在であるか」という視点を見落としてはならないのです。
これは、実は、家族の中における関係性と全く同じことなのではないでしょうか?
次は「AO・推薦入試において必要な“運”とは?」です。
お楽しみに。