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世界に共通するSDGsポートフォリオ教育:後編【バックキャスティング思考の落とし穴】

<参考記事>
前編【時代遅れの予備校】
中編【“偏差値教育”から“ビジョン教育”へ!】

SDGsを浸透させる上で最も重要かつ困難なことは、その課題を「自分ごと」として捉えることだと言います。

私が所属する日本アクティブラーニング協会に寄せられる企業研修のオファーも、「新人社員だけでなく、そもそも幹部社員がSDGsについての認識が浅いため何とかしたい。」という相談内容が増えています。

たしかに、SDGsの各ゴールは、貧困や飢餓、エネルギーや環境問題など、一見すると、日常からは遠い世界の話、自分一人の力ではどうにもならない話だと受け止められがちです。

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自分の日常からかけ離れた「大きなテーマ」だと捉えてしまうことで、
「まずは各課題の今の状況から知ろう」となってしまうようです。

ただ、SDGs達成に向けては、そうした現状の延長線上に解決を見出そうとするフォアキャスティング型の発想ではなく、いわゆるバックキャスティング型の思考が重要であることが、よく指摘されています。
これは、「未来のあるべき姿」から逆算して「今やるべきこと」を考える思考法です。

そもそもSDGsの各ゴールの解決策について、誰かが正解を持っているわけではありません。現状にとらわれることのないバックキャスティング思考は、そうした正解のない課題に対する自在な発想や飛躍的なアイデアが生まれやすいというメリットがあるでしょう。

このようなバックキャスティング思考はかなり以前から存在した考え方ですが、世の中でSDGsが話題にされ始めてから、日本でも様々なところで盛んに取り上げられるようになりました。

それにも関わらず、世界の中で、SDGsに対する日本の取り組みを振り返ると、あまり芳しくありません。
SDSN(持続可能なソリューションネットワーク)が発表したSDGs達成度ランキングの推移を見ると、日本は、
2017年では11位だったものの、
2018年は15位に後退、2019年も15位で変わらず。
さらに、つい先日発表された2020年の評価では、
なんと17位
となってしまい、年々後退している感が否めません。

日本では、SDGsに関する様々なキャンペーンがしかれ、
前述のバックキャスティング思考など、効果的に課題にアプローチするための情報も広く謳われているにも関わらず、なぜ、大きく前進することができないままなのでしょうか?

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これは、私の推論ではありますが、AO・推薦入試の指導に当てはめてみると、日本のSDGsが何故、こうした足踏み状態に陥ってしまうのか、何となく腑に落ちるのです。
(SDGsという世界的な課題に、全く畑の違う大学入試を当てはめるべきではない!という声が聞こえてきそうですが、あくまでもこれは私の個人的な考えですので、ご容赦ください。)

AO・推薦入試は、自分が理想とする「あるべき姿」を描く、
まさにバックキャスティング思考の入試です。

この入試では、あるべき社会に向けた仮説をたて、自らの職業観を形成しながら、その実現に向けて必要となる研究テーマを設定します。

そうした内容を、具体的に言語化し、志望理由書に落とし込みます。

”地域を活性化させるために、将来は行政に携わりたい。そのために地方自治を学びたい。
”フードロスを解決するために、将来はシェリングサービスを立ち上げたい。そのためにマーケティングを学びたい。”


など、もっともらしい将来像や研究テーマは様々に描けます。

ところが、これだけでは不十分なのです。

一番重要なのは、

「その問題を、何故、“あなた”がやらなくてはならないのか?」

に対する明確な回答です。

それらしい言葉や、専門用語がいくら並べられていても、
「自分にとっての必然」がすっぽり抜けている志望理由書は、
まるで「絵に描いた餅」なのです。

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自分の中にある感性が、どんな経験や出会いから生まれたものであるかが具体的で、実社会で解決したい課題と非常に密接に結びついていることが、
「マイストーリー」として明快になっているAO・推薦受験生の志望理由書は、非常に力強いものがあります。

そうした生徒は、面接や小論文などにおいても、一貫したメッセージが発信できるため、結果として合格する可能性も高くなりますし、何よりも、大学入学後に、志望理由書に描いた未来を本当に実現させているケースが多く見受けられるのです。

つまり、丹念に深めた「ポートフォリオ教育」による自己理解があった上でのバックキャスティング思考が、その実現性を高めているのではないかと思うのです。

そして、それこそが、冒頭の「SDGsを自分ごとにする」行為に他ならないのではないでしょうか?

ポートフォリオ教育については、保護者の方々の”良質な客観”が非常に重要であることは、以前の記事(親が知るべきポートフォリオ教育の極意:後編)でもお伝えした通りです。

今回の記事が、AO・推薦受験に親子における臨み方に少しでもお役に立てれば、とても嬉しい限りです。

次回の記事は、「アスリートに学ぶAO・推薦で求められる人財」が
テーマです。
お楽しみに。

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