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ヒゲじいとランプ(みんなが知らないデザインの歴史)

「プロダクトデザイナーがデザインした照明」

こんな言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?


今回お話するのは「工事用ハンドランプ」のデザインのお話。

1986年に発売され、
2020年現在も販売され続けているロングセラー商品です。


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岐阜県の片田舎にひっそりと佇む古民家。

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この古民家に暮らす陽気な男性(通称:ヒゲじい)が「工事用ハンドランプ」を30年以上前にデザインした人物です。

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ヒゲじい(青木雄作:あおきゆうさく)
1950年岐阜生まれ、1970年より伝説の「ALLEXのハサミ」をデザインしたユニデザイン勤務。1977年ACTインダストリアルデザイン設立。1986年から名古屋造形大学の講師を務め、2019年現在は、岐阜県の生家に戻り、傾いた古民家を自力で治す「古民家復活大作戦!」を行なっている。息子はTENTのプロダクトデザイナー青木亮作。




1.ヒゲじいランド


青木 はい、というわけで、今回は実の息子である僕が、父にインタビューをするというお話です。よろしくお願いします。

ヒゲじい おう、ヨロシク!ちょっと資料を蔵から出して来るから待っとれよ。

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青木 おっ、さっそくヒゲじいランプ使ってる。


ヒゲじい 作業場でも蔵の中でも毎日使ってるぞ。


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(当時の仕事の資料たち)



ヒゲじい よし、蔵は暗いから、明るいところに移動するか。

ここはどうだ。

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青木 いいけど、ここは何?

ヒゲじい
 ここは昔は鶏舎だったんだけど、今は薪ストーブの薪ストック小屋だわ。

近所の人が木をくれるもんだから、冬に向けて毎日薪割りしてて。それがここに貯めてある。我が家にとってはお宝の山だな。

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青木 じゃあせっかくなんで、まずは最近やってることを話してもらえますか。


ヒゲじい 10年前くらいからかな。名古屋から、生まれた家であるこの場所に引っ越してきて。

もう25年くらい誰も暮らしてなくてお化け屋敷状態だった家を、住みながら修理してる。

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(住み始めた当時の写真)


青木 2008年からだったけ。庭や駐車場を作ったり、バーベキュー小屋作ったり焼却炉作ったり、次から次へと慌ただしくやってたねえ。

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(初期の構想スケッチ。完成は何十年先になるのやら)

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(孫たちからは”ヒゲじいランド”と呼ばれている)



青木
 では、そろそろ今回の本題に入りますね。


ヒゲじい おう

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2.ヒゲじいの微細な気遣い


青木
 僕たちは「ヒゲじいランプ」と愛称で呼んでるこのハンドランプ。僕が物心つく頃には家に置いてあって。

昔から家で使っていたものなんですけど、あまりにも身近なものだから、家族の間でもとくに話題にしてなかった。


ヒゲじい そうかもしれないなあ。


青木 でも、特にここ数年で、エゴラッピンさんが使っていたり、ヒノノニトンのCMで見かけたり、

あるいは福岡のおしゃれなセレクトショップさんでも扱われていたりという形で、様々な場所で見かけるようになってきてて。

ヒゲじい ワシもテレビで何度か見かけて嬉しくなってます。

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青木
 30年以上前に発売された製品なのにすごいね!という話なんですけど、やっぱり世間的には「詠み人知らず」な状態で。

せっかく身近なところにその作り手がいるので、元気なうちに聞いておきたいと思ったのが、このインタビューのきっかけです。


ヒゲじい
 了解。詠み人知らず、大いに結構!とは思うけどな。デザインしたものが一人歩きするのは、それが想定外でも嬉しいよ。

で、何から話せばいいんだ?


青木 まずは、この製品が開発された時代背景だとか、そのときの既存製品の状況などを教えてください。

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ヒゲじい 70年代後半くらいからかな。日本全国にホームセンターが出来てきて、DIYが盛んになってきた時代。

コードリールなんかがメインの、産業機器メーカーの社長さんから「一般家庭にも一般ユーザーにも使ってもらえる商品を作りたい」と言われたのが始まりだったんだ。


青木 え!?そうか。この製品は「工事用ハンドランプ」と言いつつも、一般向けに企画された製品だったんだね。


ヒゲじい そう。それで、「これを使ってくれ」と、パチンパチン動くスイッチの部品を渡されて。依頼としてはそれだけだった。


青木 おお、それは自由度が高いというか、なんというか。そこからどう進めたのかな。


ヒゲじい まずはその、受け取ったスイッチ部品を採寸して図面にして。それからさて、どういうものにしようかと考えていった。

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(PC普及以前なので、製図台を使って図面を手描き)



青木
 ふむふむ。そしてそれから?


ヒゲじい 当時のハンドランプっていうのは、板金と、針金みたいな金属のカゴで出来ていて。組み付けなんかも沢山のネジを使ってた。

板金は薄いし針金もけっこう細いものもあって、ネジも露出しているもんだから、一般家庭で使うと怪我をしてしまうような作りのものが多かったんだ。


青木 なるほどねえ。この「ヒゲじいランプ」みたいにプラスチックを使ったものっていうのは、当時はなかったの?


ヒゲじい なかった。いろいろ調査して、素材も含めて提案したよ。

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ヒゲじい これは別の案件のやつだけど、だいたいこんな感じで、構造も素材も、組み付け方法まで指示したもんだよ。


青木 うわあ

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ヒゲじい ネジを一本も使わずに、はめ殺し(パチンとはめ込んではずれないようにする構造)で組み付けたくてな。

そのために弾性のあるプラスチックを採用したんだ。 それに柔らかいから、落下して頭に当たったとしても怪我しない。

プラスチックと言っても、電球の近くは発熱に耐えなければいけないのでPPを使って、手元の部分は丈夫なABS、いや、フェノール樹脂を使うとか細かく考えたなあ。


青木 当時はインターネットもなかったし、素材について調べるのも書籍をあたるしかない時代だよね。それは大変そう。

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(図面は全て手描き)

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(メールもないので手書きをFAXしていた)



青木
 じゃあ素材に続いて、形については?


ヒゲじい これ以前のハンドランプは、電球交換のときに、カゴの正面からパカっと開けるものが多かったんだ。

その方法だと電球をクルクル回しにくいし、外しにくい、それに、針金と板金でできてたから、はずすときに手を怪我してしまうこともあったんだわ。

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たぶんこんなかんじ

ヒゲじい だから、電球を楽に交換できることを目指して、ワニさんの口みたいにパカっと開くだとか3案くらい構造アイデアを出して、

最終的に採用されたのが、上がパカっと開くこのタイプ。

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青木 なるほど。ここの上カゴと下カゴとのロック方法が独特だよね。


ヒゲじい フックで吊り下げるから、かなりの強度でロックがかけてある。はずすときも、左右から潰しながら開くような独特の構造を新規で設計したよ。

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カゴを左右から押しつぶしながら
つまみを上に引き上げてオープンする



青木
 僕も15年くらいプロダクトデザインやってきた今だからわかることだけど、このカゴの部品って、丈夫だけど無駄なコストがかからないように、細かいところまで配慮されてるね。


ヒゲじい おっ、分かるようになったか。それぞれ最もシンプルな上下割りの金型だけでできるようにしている。一般の人に気兼ねなく使ってもらうためには、価格も重要な要素だからな。


青木 ちょっと細かい話になるけど、この部分の凸凹の細い線は何のためについているのかな?

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ヒゲじい この赤い部品はPP(ポリプロピレン)という素材なんだけど、この素材は成形加工するときに少し形が歪みやすい素材なんだ。


青木 “ヒケ"と呼ばれるやつだね。

"ヒケ(ひけ、Sink Marks)とは、工業製品において材料が起こす成形収縮によって生じるへこみ、窪みである。 射出成形(インジェクション)などの金型を用いて作られた合成樹脂製品に顕著に見られる現象である。"


ヒゲじい そう。表面に凸凹をつけることで、その”ヒケ"が発生しないようにしている。さらに、それが見た目にも良い印象を与えるように配慮してます。


青木 なるほど。では、このカゴの部分の横方向のリングが、一段内側にあるのは?

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ヒゲじい ここか。最初のスケッチでは存在しない要素だったんだ。これが最初のスケッチ。

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青木 あ、本当だ!このスケッチでは、横方向のリングが少ない。


ヒゲじい 電気が来て電球が光るまでの流れを無理なくそのまま形にしたかった。そうすると、横方向の要素は少なくしたかったから、、全体の印象として「タテの流れ」を意識してるんだ。


青木 なるほど、だから強度上の必要性から横のリングが追加されたときに、一段奥にすることで、その印象をキープするようにしたと。


ヒゲじい そうだそうだ。おっ、なかなか分かってきたな。

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3.ネジ一本や製造工程まで考える


青木 ところで、さっきのスケッチは手描きだよね。あたりまえだけど、この当時は3Dソフトどころかパソコンもなかったから、こういう立体的で正確な絵を描くのも職人技ですよね。


ヒゲじい おう、これはまた別の案の下描きではあるんだけど、こうやって
パースを正確にとって、楕円定規なんかを駆使して、ペン入れしたり、マーカーで着色したり、ホワイトを入れたりしてたぞ。

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青木 なるほどなあ。当時はみんなそうやって描いていたのかな。


ヒゲじい みんな何かしら手描きしていたとは思う。だけどワシは実は、フリーになって間も無い頃に「テクニカルイラスト」って言って、製品を分解した詳細図なんかを描くイラストレーターとしても仕事を沢山してたんだ。

そこでネジ一本まで細かく描いた経験があるから、デザインスケッチというよりは、構造まで理解した絵を描くのが得意だった気はする。


ちなみに、この絵はテクニカルイラストの仕事で描いたものだわ。

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青木 うわー!細かっ!!

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ヒゲじい 一度ここまで細かく描いていると、自分が製品デザインするときもネジ一本や組み付け方法まで気になり始めるんだ。


青木 はああ… なるほど。
プロダクトデザイナーって言うと「外観のカタチを考える人」だと思われがちだと思うけど、そういう経緯があったから、このハンドランプでは構造や設計まで踏み込んでたんだね。


ヒゲじい とくにハンドランプのときは設計をやる人間が他にいなかったから。僕が全部やることになったんだわ。


青木 僕もフライパンジュウでは、同じように設計者がいない状態で構造の詳細まで関わったから、今なら少し、その辛さと楽しさがわかる気がする。

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(ヒゲじいの苦労には遠く及びませんが…)


青木 いろいろ時代の違いもあって圧倒されっぱなしだけど、話を戻して。他に構造とかこだわったポイントはありますか?


ヒゲじい まずはこのフックだな。プラスチックの はめ殺し(パチっとはめ込む構造)を採用することで、360度回転させることが可能になった。

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青木 なるほど、今では普通のことなのかもしれないけど、こういうのも時代ごとの工夫の積み重ねなんだねえ。



4.職人の勘


ちなみに、これまで赤い部分の話ばかりだったけど、この黒い握る部分の形については?

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ヒゲじい ここはカタマリを削いだような形になってるんだけど、握ったときに方向性がわかるようになってる。太さや位置なんかも工夫して、握りながらスイッチが操作しやすくしてるんだ。

あとは、電球の受けの部分の黒いところの突出量のバランスを随分悩んだし、そうそう、赤い部品と黒い部分の組み付け構造もかなり悩んだな。

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ヒゲじい それまでのハンドランプは、持ち手とガードをネジとナットで結合してたんだ。それを、このハンドランプではパチっと一発ではまるようにした。

なおかつ使用時には絶対にはずれないような強度を持たせる構造を考えた。ここは本当に大変だったぞ。


青木 それってやっぱり試作を沢山作って検討していったのかな?


ヒゲじい いや。今はそりゃあ3Dプリンターとかでささっと試作して構造検討できるんだろうけど、当時は構造試作が簡単に作れる時代ではなかったから。

図面を描きながら想像して。職人の勘みたいな感じで設計した。ちょうどその頃、弁当箱の仕事もやっていて、ヒンジなどを多用した複雑な樹脂製品をいくつも経験していたからできたんだと思うわ。


青木 職人の勘!すごいな。ドキドキする工程。
では形の次は、色については何かこだわりはあるのかな?

ヒゲじい もちろんある!

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5. 親しみやすいハンドランプ


ヒゲじい すでに言ったように、当時は針金や板金でできたハンドランプしかなかったから、金属色で、ゴツくて痛くてなんか暗くて、家に置きたくない雰囲気だったんだ。


青木 今でこそ、一周回って「インダストリアルな男前インテリア」なんて言われて、そういう雰囲気もアリになってきてるけど、当時はむしろ、それしか選択肢がない時代だったんだね。


ヒゲじい そうだな。だから、カラーバリエーションからくる親しみやすさというのを考慮したんだ。プラスチックなら素材自体に色をつけることが可能になるから。


青木 何をイメージしてこの色にしたの?


ヒゲじい 当時ワシはイタリアデザイン、とくにオリベッティに憧れてたんだ。

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青木 ああ、オリベッティのバレンタインも、たしかに赤と黒だ!


ヒゲじい オリベッティが、業務用だったタイプライターを、暮らしを彩る楽しいものにしたように。

このハンドランプも、一般家庭で楽しく使ってもらえることをイメージしたカラーバリエーションなんだ。

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ヒゲじい さらに、色だけじゃなく、表面のシボにもかなりこだわったぞ。


青木 シボ。つまり、この黒い部分のマットな質感のことだよね。


ヒゲじい そう。このシボは、軍手をはめた状態でもグリップしやすくするために、プラスチックの成形の限界のシボ荒さに挑んだんだ。

このシボのおかげで、多少の傷つきも目立たないようになっている。

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ヒゲじい あとは、スイッチの受け部分。丸く凹んだ箇所。

ここは、カチンと押し切った状態でのタッチ感を良くするために、半球状の凹み具合を粘土でいくつも確認したんだ。

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ヒゲじい だからスイッチのON/OFF操作はかなり気持ち良いと思うぞ。

青木 なるほどー。聞けば聞くほど微細なこだわりが込められているね。


6.初仕事が一番のロングセラーに


ところで、そもそもの話に戻っちゃうんですけど、このメーカーさんから依頼があったきっかけって?


ヒゲじい 僕が売り込みに行ったところから始まった。フリーになってから50社くらいに電話をかけまくって、そのうちの1社だな。たまたま売り込みにいったタイミングで社長がいたことからこの話が始まった。


青木 へえー!初対面の初めての仕事が、30年後も継続して販売されているってすごいことだね。


ヒゲじい 今でも販売が続いてるから、もちろん売れているということだと思うんだけど、当時で言うと、このメーカーとしては初めてグッドデザイン賞に出して受賞することができて。社長は喜んでくれたみたい。

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青木 なるほどー!当時のグッドデザイン賞ってかなり敷居が高かったと聞くから、それはすごい。


ヒゲじい 発売からしばらくして、そっくりなニセモノが出回ったんだけど、グッドデザイン賞が証拠になって、なんとかなったらしい。


青木 そういう賞の使い方もあるのか。






7.頭と体と一杯のビール


では、当時のお話はそれくらいとして、いま現在も販売されていることや、最初に話したように様々な場所でこのランプを見かけることについては、何か思う事はありますか。

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ヒゲじい そうだなあ。まあ単純に嬉しいなというのはあるんだけど、今も自分で使い続けてて使いやすいし、二十年以上使っても壊れないし。真面目に設計やデザインをしておいてよかったなあと思うよ。


青木 なるほど。ちなみに、このハンドランプをデザインした当時は、名古屋のマンションに住んでたじゃない?

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(名古屋で仕事していた頃)

青木 巡り巡って今は、デザインした本人が、このランプが大活躍するような暮らしをしてるっていうのも面白いなあ。


ヒゲじい 今の暮らしは、年中工事現場に住んでるみたいなもんだからな。

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(現在の暮らし)

青木 ちなみに僕は、寝室で子供に絵本を読むための照明として使ってるんだけど、子供からも「ヒゲじいランプ!」って言われててすごく人気だよ。

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青木 コードが長いし(コード長さ:5m)やわらかくて曲がりやすいから、取り回しやすいのも良いね。ガードがついてて火傷とか怪我の心配がないから、安心して使えてるよ。


ヒゲじい 一般家庭で使ってもらえるように設計したからな。しかしまさか、孫の代まで使ってもらえるとはな。嬉しいぞ。




ヒゲじい まあ、当時は随分とアタマ使ったけど

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ヒゲじい 今はカラダ動かしてビール飲むのが最高だわ!

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そして今日もまた、ヒゲじいの古民家復活大作戦は続くのだった。

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<おしまい>



長々とお付き合いありがとうございました。

最先端の情報が次々とアップされるインターネットの世界ですが、たまにはインターネット以前の、こんな話も面白いのでは?と思って書いてみました。

「デザイン」って言うと、華やかな世界の情報ばかり溢れていますけど、僕たちの暮らしを支える様々なものにも、名前を知らない人たちの創意工夫があって。

今後も、ちょっとでも、そんな話を書いていければなぁと思います。

どう思われたかしら。
どなたでも、お気軽にコメントくださいね。



P.S.
ちなみに、
DRAW A LINE のブランドロゴのイラストは「ヒゲじい」が描いたものです。


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