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何で持ってないんだろう。(FLIPシリーズ デザインのひみつ)
持っていれば今より快適に暮らせるはずなのに。
そういえば、自分は何で持ってないんだろう。
ふと、そう思うモノってありませんか。
たとえば、僕の場合は筆箱がそうでした。
イラスト:ヒゲじい
出かける前にカバンに入れた、定規とシャーペンとボールペンと赤ペンが、目的地に到着した頃にはカバンの中で行方不明になっちゃった。
そんなことが頻繁にあったのに、何となくこの問題を放置しちゃってたんです。
そしてまた行方不明になったある時、カバンの中をまた探しながら、ようやく気づきました。
「そういえば、何で僕は筆箱を持ってないんだろう?」
すぐに文房具屋さんで筆箱を見て回ったんですけど、なんか違う、こうじゃないと思うものばかり。
そこで自分の日常を冷静に振り返ってみました。
基本的に僕はいつも同じデスクで仕事をしていて。デスクの上の手の届く場所とかに、よく使う文具が置いてあります。
その上で、たまの打ち合わせの時なんかに定規とシャーペンとボールペンと赤ペンあたりをつかんで持っていく。
そんな日常だから、普段はそもそも筆箱は必要なかったし、このイラストみたいな「モシャッ」とした筆箱が常に机の上に置いてあるのも何か嫌だったんですね。
とはいえ、たまの打ち合わせのたびに行方不明になるのもわずらわしい。
うーん、なんとかならないかな。
そう考えたときに、気づきました。
普段デスクで使っているペントレーを、そのまま外に持ち運べれば良いんだ!
デスクの上ではペントレイで。いざとなったらフタができて持ち運べる。
そんな機構を持った、筆箱というよりはモバイルペントレイというような。そんな道具が作れないか?
すぐにザクザクと試作を作り始めました。
2012年撮影の写真
もう、手元にあった木材を適当にくり抜いて厚紙貼っただけ。
そうそう、こんな感じでトレイになってて
こんな風にフタをして持ち運ぶ感じ。いけるかもしれない。
手応えは掴めた気がするので、次はもう少し綺麗に作ってみることにしました。
なんとなくタテで作っていたけど、ヨコのほうが使いやすいのかも?ちょっと不安になったので、ヨコも作ってみました。
うん、僕はヨコだと使いづらいな。
そんなことが確認して、最初の構成に自信が持てたので、もっと綺麗に作っていきます。
新宿のユザワヤに布を買いに行って、ハンズに木材と磁石を買いに行って。
そうこうしているうちに、同じ構造で名刺入れなんかも作れることに気づき
そして完成したのが qulpaca(クルパカ)です。
2015年にプロトタイプとして出展
展示会でお披露目はしたものの、忙しくなってしまったこともあり、そのままお蔵入り。。
かのように見えたんですが、2017年。
なんと、NuANs WORKLIFE シリーズにて
FLIPTRAYという名称で世に出ることになりました。
「持ち運べるペントレー」という初期の構想はそのままに。
ウルトラスエードを採用し、開閉するときのアクション、パタンという音、手触りの良さという使うたびに感じられる心地よさを最大限に高めた自信作が完成しました。
とくに想定外だったのが、名刺入れの気持ちよさ。わけもなくずっとパタンパタンしたくなります。
もしかしたら、在宅ワークが増えて外出が減った現在だからこそ、当時の僕のような日常を過ごしている人も増えているのかも。
そんな人にはオススメしたい名品が出来上がりました。
さてさて、そんなわけで、最後はストアの紹介になってしまいましたけど。
「そういえば、何で持ってないんだろう?」
そんな個人的な気持ちを深掘りして商品開発するなんて方法もありますよ、というお話でした。
このエピソードが、何かの着想のお役に立てると嬉しいです。
ではでは。
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