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デザインって、どうやってます?(モノの新しいカタチの考え方)

プロダクトデザイナーの人って、どうやって「モノの新しいカタチ」を考えるんでしょうね。

僕は社会人になりたての頃は「ICレコーダー、デジカメ、パソコン」などのもう名詞がある(ジャンルが存在してる)ものの新しいカタチを考えるお仕事を担当してて、その頃はデザインがとても辛くて苦しい作業でした。

それと比べると、TENT結成以降は
透明な本 BOOKonBOOK、鍵を覆うKeyKeeper、お皿になるフライパンJIU、まな板になるお皿CHOPLATE、などなど、まだ名詞がない(ジャンルが存在してない)ものを生み出す機会に恵まれていて。

そういう時って発明のあるがままを形にすれば自ずと「新しいカタチ」になるわけだから、僕にとって辛くない作業でした。

誇らしい気持ちがあるとともに、それはコンプレックスでもあって。もう名詞があるものつまり「⚪︎⚪︎のデザインをお願いします」という依頼に対して、僕は上手なアウトプットを出せないということでもあるんです。

実際、企業勤めのときはその弱点が出まくって、全く力を発揮できなかった

TENTの相方ハルタさんはそこがめっちゃ得意な人なので、TENT結成後は本当に良いコンビとしてやれてるなあと思ってるわけですけど

僕個人としては治田さんのように"もう名詞があるもの"でも活躍できるようになりたくて、踠き続けてそれができない13年って感じでした。


さて、その上で。


2024年10月24日にグッドデザイン丸の内で行われた田渕 智也さんとのトークイベント。個人的に学びが多すぎて、めっちゃ面白かったんです。

左に見えている WALL FOR ONE に関するトークイベントでした

「モノの新しいカタチを考えるって、どういう感じ?」って思ったことがある人にとっては、きっと役に立つ内容になるんじゃないかと思うので、ここにメモしときます。

田淵智也さんのホームページ


田渕さんは僕から見ると「椅子」をはじめとする、すでに名詞があるものの新しい(そして素敵な)カタチをどんどん生み出している人で。

「新しい椅子のカタチを考えて」って言われてもどうしたらよいのかわからなくなる僕にとっては、そのプロセスが謎すぎる人だったんです。

なので、どう考えてるか単刀直入に聞いてみました。

そうしたら
「青木さんがやってることと、あまり変わらないですよ、同じですよ」というスタンスで、僕にわかるようにやり方を説明してくれました。
(やさしい!)


まだ存在しないを見つける

たとえば、「椅子をデザインしてください」と言われた時。僕だったら(極端に言えば)「座るものの形状バリエーション」を考える、と捉えてしまうわけです。

でも田渕さんは

・どんな場所で使うのか
・どんな配置で、どんな空間を作るものか
・そこに座る人と人の、どんな関係性を作るものか
・座った人が、どんな気分になるものなのか

などなど、より細かく見ているそうなんです。

細かく見た上で"まだ存在しない”を見つけて、それを形にしている。そういう意味で、僕のやり方と似ているのかもと希望が持てました。



そして、次が衝撃だったんですけどスケッチをしない。手を動かす。


頭より先に手を動かす

田淵さんのホームページにはいくつもの試作写真があるので必見です!

最初から針金など簡単な素材で、50も100もミニチュア試作を"自分の手で!”作りまくる。とにかく立体を闇雲につくる。その中から、自分の頭では見つけられなかったものを見つけると。

ここも、ダンボールで同じようなことをしている僕は、希望を持つことができました。そうか!試作素材の種類を増やせば良いのかもしれない!


じゃあその上で、そうやってできた多くの試作の中から「この案が良い」と決断する時、なにを拠り所にしているのかも気になるので、聞いてみました。

余計なことをしない

ひとこと「センス」とかだけ言われたらどうしよう、と思ったんですけど、そんなことなくて

・余計なことをしない
・素材や構造が無理をしないもの
・シチュエーションを想像して、そこで無理なく効果を発揮するもの
・使いながら考えてみる

って選んでるかも、みたいな感じで、僕のやり方とすごく似ていたんです。


気持ち良いなの深掘り


リサーチはしているか、トレンドを意識してるかどうか、なんて質問もしてみました。そうしたら

それよりは、日々の暮らしの中で自分が「あ、気持ち良いな」と思った時に「なんで気持ち良いんだろう、なんで、なんで」を深掘りする、それがリサーチみたいなものかもしれない

って感じで、本当、僕と一緒だな!と思いました。

正直、僕は「"もう名詞があるもの"のデザインは今後一切やめる!(他にできる人がいるから)」って決めてたんですけど、これからも時々、やってみても良いかもなと思えました。

カタチを考えるためにすること。
・その先の景色を細かく想像する
・手を動かして試作しまくる
・自分の日々の「気持ちよいな」を深掘りする

なるほどなあ。やっぱり、似てる。僕にもまだできるかもしれない。
なんか、希望をもらえた日でした。

作りたてホヤホヤのTENTの会社案内「新しい風景をつくる」は、実はこの対談も1つのヒントになったものだったんです。



という感じですが、どうでしょう。プロダクトデザイナーがカタチを考えるってどういう事なのか、ちょっとでもヒントが拾ってもらえたなら嬉しいです。


田渕さん、初対面にも関わらず、全ての質問に優しくご回答いただきありがとうございました!


イベントの様子は(音声のみですが)デザイン振興会のYouTubeにも上がってるみたいですよ。







※写真は、OLYMPUS時代の同期 赤松っちゃん撮影。素敵な写真をありがとう!

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