装甲騎兵ボトムズ 第2話「ウド」前半~治安が悪いのはわかった~

 改めてOPのアニメーションを見てみると、本当に一人の男と一人の女しか出てこないんだな~と感心します。いろんなキャラクターがわちゃわちゃ出てくるアニメOPがあまりにも多くて、そちらの方が見慣れちゃっているから、ボトムズOPはかなり新鮮に感じます。

 歌詞の「♪そっと~しておいてく~れ~」のタイミングで主人公の背後の女性の姿がぼやけるのがずっと気になっていた……この主人公は謎の女性を遠ざけたいと思っているのか?彼女に向かって「そっとしておいてくれ」と言っているのか?(しかし、物語が進むにつれてむしろ逆に彼女を追い求めるようになっていっちゃうのだった)。

 本編始まり。前回の、内容を知らされぬ作戦に参加させられちゃった、というくだりがナレーションで語られる。謎の女=“あれ”を見てしまったことがとても重大なことだったと強調され、そしてサブタイトルの文字が表示される……

 「ウド」!(チャラッチャン!)

 衛星らしき物が宇宙のゴミを淡々と撃ち、破壊していく描写。(これが後の伏線になるなんて気づかなかったよ!)

 主人公くん、なんと第1話のあと半年も逃げ回っていたらしい。そしてたどり着いたのはウドの街……。SF、近未来の世界の中にあるさびれた街……(というか、とっても『ブレード・ランナー』だ……)。

 アニメ初鑑賞時、“雑踏”のほとんどに色が塗られていないことに興ざめしたのをよく覚えています。そういうのをちゃんとしてる作品をたくさん見すぎた贅沢な視聴者なんだ私は。作画崩壊は大して気にしないくせに、色が塗られているかどうかはやけに気にするという……。

 ただ、どこかキケンな香りをただよわせた街であることはしっかり伝わってくる。少年が葉巻をくわえながら、賭けをする大人たちの輪の中にいる。黒塗りの雑踏の中、色を塗ってもらえたきらびやかな格好の女がいる。一見金持ちのマダムみたいに思っちゃいそうだけど、違う。これは娼婦だ。

 そして、なんか、パラリラパラリラ聴こえてくるし……治安が悪いんだな……案の定、暴走族がバイクに乗って大暴れする描写が。うん、チアンワルイ。ここコワイ。

 主人公キリコ、騒ぎに巻き込まれぬよう逃げようとするも、ムチで首を締め付けられ引きずり回される羽目に……ちなみに引きずり回してるワルモノのCVは緒方賢一だ!似合いすぎるぞ!笑い声なんかもう「ぐゥェあハハハハ~!」だぞ!完璧かよ!!!!

 殴られて、閉じ込められて。主人公、前回に続きまた捕まってしまった……そこへ、やっと来る警察。遅い!しかも道端に転がった遺体を平気でまたいだりして、淡々と仕事してる感じ。冷たい。

 警察官の一人(CV:ゴン・ヌー)が声を張り上げる。「死体の引き取り人はいないか?!いなければ収容して焼却炉に放り込む!」

 一方、パラリラしながらアジトに到着した暴走族。積み荷を雑に降ろすみたいに、捕まえてきた人間をドバドバッとふるい落としていく。最後にボトッと落とされるキリコ君。どうやら奴隷として働かされることになったらしい。穴堀り機とマスクとマントが支給され、しぶしぶ採掘作業へ……。

 キリコが作業していると、ひょっこりと現れる謎のおじさん。「新入りだなオメェ」(CV:グラン)
 二又一成さん、こういう役似合うなぁ……。この時はまだオネエ口調の科学者の役でレギュラー入りするとは思ってなかったよ!!!!

おじさん「火ィあるか?」
キリコ「ない」
 即答し、プイッてするキリコ。かわいい。というかあまりにも即答すぎる。

 そしてここで何が採掘されているのかを説明する場面に。出た、ジジリウム……のちにメチャクチャお世話になり、かつメチャクチャ振り回される羽目になる因縁の物質である。コンピューター回路に使われていたものが爆撃の熱で溶けてこうなった……のを必死に今掘っているということらしい。

 これは私たちの世界でいうところのレアメタルの類いか……いや、あるいは、やっぱりウランなのか。こういう感じの青い金属って実際にあったっけ?と思って軽く調べてみたら「ジ」がつく金属でジルコニウムというのが出てきた。原子炉の燃料棒を覆うのに使われたり、アクセサリーに使われたりするそうです。もしかしてこれが元ネタだったりする……か……な?(まるで確証が無い)

 キリコとおじさんがおしゃべりしていると、「休むな!」とモブ(CV:バニラ)が銃で脅してくる!(しかしここの千葉繁さんの声質の良さよ……やたらとイケボなモブがこの時代のアニメは多い!)殺されたくないので慌てて採掘作業再開のおじさん。

 やがて、赤い雨が降ってくる場面に。サイレンの音。おそらく人体には有害であろう赤い雨が身体にしたたるも、マントとマスクで身を守りながら作業を続けるしかないキリコ。

 咳き込み始めるおじさん。二又さん、咳の演技が上手すぎる。本当に苦しそう。倒れ込んでも容赦なく、掘れと命令される。おじさんを乱暴に扱い始めたことが許せず、キリコ、銃を持った相手に飛びかかった!

 この主人公、どんなに虐げられていても反骨精神を忘れない子だ。キリコのそういうところが好き。好きだけど……好きだけどしかし、やっぱり、あえなくボコられる……。

 雨が降り続く暗い空の風景を見せながら主人公のナレーション。「ウドは地獄だ……」うん、そうだね。

 ここでアイキャッチ。今回もハードだな。前半だけでも荒れた社会状況なのがよく伝わってくる。戦後の無法状態。前回の予告の「ロッチナの手を逃れたキリコを待っていたのは、また地獄だった」って、その通りすぎる……。

~後半に続く~

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