付着.19 てくてく、てくてく
今回は「て」だ。
最近、言葉にスピードや形があるような気がして、楽しい。文章の中を歩くテンポも、見える景色も人それぞれ全然違うんだなぁって。
そんなことを日々考えているので、今日のテーマは「てくてく」である。
皆さんはてくてくしているだろうか?あまり歩く習慣がなくなってしまった俺の生活からは「てくてく」が消えてしまったように感じる。てくてくはテンポが良い。心地よく風を感じ、景色を眺めながら、ゆっくりすぎず、早すぎず、ちょうどいいと思う。
時間に追われるとどうしてもバタバタして、今は歩くとしてもザクザク、ズンズン歩くし、携帯なんか見ながらボツボツ歩いてる姿を目にすることも多い。子供達はトテトテ歩き、ドタドタ歩くようになり、ドタバタ走れるようになる。
いつからてくてく歩けるようになるのだろうか。てくてくを思い出すことができないことが少し切ない。
てくてくは円くて、てくてくは軽やかで、てくてくは優しい。散歩をはじめたら、てくてくを生活の中に戻すことはできるのだろうか。
生活の中から失われた大切な音を、沢山集めたいなぁって思う。ワクワクすることは多少リスクがともなう歳になった気がするし、ドキドキは高鳴る音から不安な音へと変わってしまった。
休みの朝はのそのそと布団から這い出して、だらだら動き出す。1日の始まりをもっときらきらした気持で迎えれたらいいのに。テキパキやるべきことを終わらせて、もくもくやりたいことに向き合って、しんしんと眠りにつく。そんな休日を取り戻したい。
モヤモヤした気持を消化できず、そんな自分にイライラして、ニコニコした顔を忘れてる。三角形の日々を過ごして、身体も心もズキズキしてる。ときには形が見えなくなってふわふわしたまま、ぼけぼけと時間が過ぎるのを眺めてる。
とくとく流れる血の音を、さらさら流れる水の音を、じりじり照りつける太陽の光を、なくしてしまった沢山の音を探しに。
てくてく歩いていきたいなぁ。
てくてく、てくてく。
しなやかに、柔らかく、円く。
そんなことを考えるとすこし、わくわくするんだ。
明日はどんな1日になるのかな。あなたの明日が沢山の素敵な音で溢れますように。
てくてく、てくてく
好きな音が近づいてくる。
もうすぐ春ですね。
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