掌編小説「球戯場表面」
球戯場表面 球戯場の地下の、一切のひかりを欠いた工房には、老いた者から赤子まで、十歳刻みでひとりずつ、つねに途絶えることなく幾人かが幽閉されていた。戯れとは言い条、その実は儀式であるのだという。植物を切りつければ流れる樹脂を、滑らかに磨かれた檜の型へと注ぎ、固める。そうしてできた半球同士を熱して貼り合わせれば、ひとつの球がかたちを成す。人間の拳ほどの球は、手で突くとよく跳ねるのだという。ひかりを多く蓄えた球戯場のざらついた土のうえで、競技者は鍛え上げられた肉体を以って争い、王