クリスマスの気まぐれ.24
視界にはイルミネーションが映る。
噴水公園には、たくさんの人が集まっている。
「恋人だけじゃないです。」
「へ?」
カンナは立ち止まって手を離すと、スルリと自分のマフラーを外して、私の首にぐるぐる巻きつけた。
カンナの匂いに包まれて、ドキドキクラクラする。
「親子とか、家族とか、友達とか…。
キレイなイルミネーションは、恋人だけのものじゃないんじゃないですか?」
カンナに言われて見渡すと、キラキラキレイな光を喜ぶ子供や、それを笑顔で見守るお父さんやお母さん。
制服姿の女の子たちや、部活帰りの男の子のグループもいる。
「…そうだね。
うん、キレイ。」
イルミネーションだけじゃなくて、それを見ている人たちの笑顔も、キレイで優しい。
「それに、もっと身近なものじゃないんですか?」
「え?」
カンナと目が合う。
「恋って、そんなに遠いものですか?
気づいていないだけで、もっと身近なものじゃないんですか?
そうじゃなきゃ、こんなにたくさん溢れていないですよね?」
そう言われて見渡すと、周りには幸せそうなカップルもたくさんいる。
胸がぎゅっと熱くなる。
「そうだね。
…ありがと、カンナ。」
顔を見合わせて、笑った。
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