クリスマスの気まぐれ.20
「はいよ!」
お店の人の元気な返事の後に、隣のカンナがボソっと、
「オレ、選択権ナシですか?」
耳元で呟く。
「え?違った?」
…違わないですけど。」
困った顔をしてから、優しく笑う。
その笑顔になぜかホッとする。
「き、今日は機嫌悪くないんだ?」
「え?」
なんのことか全くわからないらしく、キョトンとしている。
「残業の日、怒ってたじゃん。」
私だけが気にしていたみたいで、ちょっと悔しい。
「…あれは。」
カンナが目を泳がせる。
「お待たせしました!」
店員さんがビールとギョーザを運んできた。
「おいしそう!
カンパイ!」
勝手にガチンとグラスを当てて、ぐいっと飲む。
「あー…おいしい。」
「寒いのに、ビールですか?」
いただきますと言いながら、カンナもビールを飲む。
いいなと思ったら応援しよう!
