クリスマスの気まぐれ.27
「…。」
みんなが優しい笑顔でうなずいている。
油断すると、涙が出てしまいそうだ。
村田さんにドキドキしたのは、嘘じゃない。
だけど、間違うことだって…あるよね。
「それにさ、ナズナって甘えて頼るってタイプじゃないよね。」
「私もそう思います!」
「ナズナは、自分で仕切りたくて、相手にはわがまま聞いて欲しいし、だけど自分からは素直に甘えられない不器用なところもあって…。」
「うんうん。」
スミレさんの分析に、アヤメが頷く。
「…そこが、可愛いんじゃないっスか?」
「!」
「!?」
スミレさんとアヤメが顔を見合わせていて、おかしなことを言った張本人は、シレっとビールを飲んでいる。
「ば、バカじゃないの!?」
カンナの肩を、グーでパンチする。
「もー!
今日は飲みます!
付き合ってもらうからね!」
カンナは肩をさすりつつ、みんな笑いながらグラスを持つ。
「明日も頑張りましょう!
カンパーイ!!」
カチンとグラスを合わせた。
友達というには少し恥ずかしくて、職場の人というより、もっと大切な存在なんだ。
今年も恋人とイルミネーションは見られなかったけど、忘れていた大切なことを思い出した。
そんな気がする。
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