クリスマスの気まぐれ.6
「カンナじゃん。」
「ナズナさん、お疲れさまです。」
売り場に来るなんて珍しい。
「手伝いに来ました。」
「そっか。
ありがと。」
「ナズナちゃん、ちょっとこっちいいかな?」
「は、はい!」
村田さんに呼ばれる。
職場ではいつの間にか、名前で呼ばれることが多くて、今では当たり前のようななっている。
そのせいか、村田さんもそう呼んでくれるようになった。
「ここの商品、一旦撤去していいんだよね?」
「はい。
移動させますね。」
ゆっくり丁寧に商品をカゴに詰める。
「手伝います。」
カンナが隣に立った。
「うん。」
いつものふわーんとぼんやりしている雰囲気と全然違って、顔が怖い。
もしかして残業だから、機嫌が悪いのかな?
手をとめて、ポケットを探る。
「飴あげよっか?」
手のひらに飴を乗せて差し出す。
「はい?」
困ったような、微妙な表情。
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