クリスマスの気まぐれ.22
ジロリと睨む。
「言わなかったんですか?
スマホばっかり見てないでくださいって。」
カンナと目が合う。
「言えないよ。
言ったら、うるさいと思われるかもしれない。」
視線を足元に落とす。
「我慢するんですか?」
「うーん。」
「我慢しなきゃいけないことも、もちろんあると思います。
でも、恋愛ってまずは楽しいってことからじゃないんですか?」
「…え?」
足を止めて、カンナを見る。
「会うと嬉しい。
話していると、楽しい。
それに、もっと一緒にいたいと思うのは、楽しいから。
そういうことじゃないんですか?」
カンナの言葉に、胸がドキリとする。
…確かに、初めは楽しかった。
会うとドキドキして、メールがくると嬉しくて。
今日のことも楽しみで、昨日は眠れないかと思った。
「恋かと思ったけど、違うことなんてありますよ。」
「え?ある?
って、カンナやっぱ若いよね。
現役は違うなぁ。」
「それ、自虐ですか?」
カンナは困った表情を向けた。
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