クリスマスの気まぐれ.9
「ね、ナズナちゃん?」
「?」
パッチリ、目が合う。
「今度、飯行かない?
ってことも踏まえて、まずは番号教えて欲しいんだけど…。」
一瞬、話が理解出来ずに思考が停止する。
「ダメ、かな?」
困ったような顔で言われて、胸がドキリとしてしまった。
「だ、大丈夫です。」
声がうわずる。
顔も熱い。
「ホント?
すげぇ、嬉しい。」
さっとポケットから名刺を取り出して、サラサラと番号とアドレスを書いて、差し出された。
「あ、ありがとうございます。」
両手で名刺を受け取った。
「オレのほうが、ありがとう。」
なんて、やさしい声とステキな笑顔で言うから、ポーっと見とれていると、
「作業してください。」
背後から耳元にカンナの声が聞こえて、ビクッとする。
慌てて名刺を胸のポケットにしまった。
「背後霊みたいにしないでよ!
びっくりするじゃん!」
耳を押さえて抗議する。
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