このほしのこども。
雨上がりみたいな原っぱを、ロックと一緒に裸足で歩いた。
原っぱは公園を囲むように伸びていて、そこに並ぶ桜の木が お日さまを朝露に注いでいた。
靴と靴下を脱いで、木と並んで土に立った。濡れた落ち葉の感触に、さいしょは腰がひけていたけど
包みこむような土のしなやかさが、足の裏からひろがって 全身に波紋のように伝っていった。
からだに溜め込んでいたピリピリして重たいものが、指先から光の糸みたいに、細くいくえにも流れでて、空にとけていった。
歩くたびに生まれ変わる。
からだは軽くなるにつれて、おへそから下にしっかりと意識がかよっていく。
赤ちゃんに戻っていく。遊ぶように一歩ずつ。
これが地球の感触なんだ。
目が覚めるような想いがして、きらきらとからだじゅうに沁みこんだ。
地球は柔らかく息をした、わたしとおんなじ生きるひとつなんだ。
朝露が足の指をやわらかくほどいて、呼吸するわたしのからだをのぼって、そらに還っていった。
足元でロックが自在にブレイクダンスを踊っている。裸足の人と転がる犬を見て、道を行くみんなが笑いかけてくれる。
さっき見たお日さまみたいに、水滴に浮かんで。
どろんこの足をタオルで拭っていたら、懐かしいような気がして 泣きそうになった。
そんな思い出はないんだけど、なぜだろう。
思い出せないくらい、きっと深くに染み込んだ 宝ものなんだろう。
泣きそうになったらまた、土の上に座って 地球に聞いてもらおう。
ふたりで草団子の匂いをさせながら、おうちに帰った。