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夫は家の中でカニ歩きをしています11 ーゴミ出し権の侵害!?

<このシリーズでは、強迫性障害のリアルを一人でも多くの方に知ってもらうべく、夫との日々について語っています。過去記事をお読みでない方は連載スタートの記事から読んでいただけるととっても嬉しいです。>

前回に引き続き、私が「普通」を設定するのに困っている話。前回はコロナ禍でのUberを例に出しました。そこで働いている方たちや経済的には本当に申し訳ないけれど、とりあえず今のところ使ってはいません。

でも、もっと日常生活に根付いたもの、例えば、ゴミ出し。

例えば、ゴミ出し。

結婚してから最初の3か月くらい、私はゴミ出しをさせてもらえませんでした。

ゴミ出しを自分でしてくれるなんていい夫ね、と思うかもしれませんが、違うんです。大変だから僕がやってあげるね、じゃないんです。

夫が夫のためにする行為なんです。

当時はアパートに住んでいたので、アパートのゴミ集積所に各自好きな時に捨てに行ってよい、という感じでした。

私の夫にとって、ゴミ集積所は汚れている最たるものの部類に入ります。

どっかのだれかのおむつや、血が付いた何かや、その他もろもろ気持ち悪いなんやかんやが捨てられているかもしれない。特にこのコロナ禍では人が必ず集まるところで危険なところ。巨大ゴミ箱の扉を手で開けて、手で突っ込まなければならない。体の一部も触れるかもしれない。

私が行くと、どこにどんな風に触るかわかったもんじゃないし、私の服が風になびいて集積場の壁に触れるかもしれないし、私の髪が共同のゴミ箱に触れるかもしれなくて、もう考えただけでも無理!だから、彼が自分で行きたい。結果、私がゴミ出しに行くことはしばらく許されませんでした。

でもね、ゴミって1週間に一袋くらいはたまるじゃないですか。生ごみもあるし。夏は匂うし。

もともと自炊をせず、ゴミが出ない生活を心がけていた彼は、結婚して、1週間に1回ゴミ出しに行かないといけないことが苦痛でしょうがないんです。

結果、彼のタイミングでしか行かないし、しかもそのタイミングは常に一定ではない、その上、彼にとっていやな場所だから行くのにものすごく気合がいるんです。一方で私はもう、とにかく早く行ってほしい。

っていうか、待って。根本的に私はゴミ出しに行く権利がないって意味わかんないですよね?基本的人権の侵害…かどうかはわかりませんが、これは正直苦しかった。当たり前にできることができない苦痛。

ゴミ集積所に行っても、手を洗えばいい話だし、ゴミ集積所に行って即病気になって死んだ人なんて聞いたことがない。日本なんて、みんなゴミ出しに行ったまま手を洗わずに電車に乗って会社に行って取引先と握手してるんだ。それが普通。なんなら、みんなゴミ集積所に行った靴で世の中を歩き回ってるんだし、世界中ゴミ集積所じゃないか。そこだけを避ける意味が分からない。これは、明らかに「普通」ではない。

というわけで、これは絶対におかしい、と思って、ある日勝手に私がゴミ出しを始めました。だって「普通」じゃないもん。

夫は当初かなり当惑し、ずっと文句をギャーギャー言って、私が帰宅後に家の中で通った道を隅々まで消毒していましたが、私が強行突破し、とりあえず、ゴミ出しから帰ってきたら着替えてシャワーを浴びる、ということで妥協。

これも手を洗うだけでいいはずなのでおかしな話なのですが、この習慣は1年経った今でも続いています…。


もう一つ、私が強迫性障害の夫と暮らし始めて苦しかったことは、自分の価値観、自分の長所があだになったことです。次回に続く。

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