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夫は家の中でカニ歩きをしています⑨ー万年パンデミックな夫

世界中がパンデミックという大々的なブームに巻き込まれた最中に、私たちは結婚しました。

私の夫がこのパンデミックな状況にどう反応していったかをお伝えします。

<このシリーズでは、強迫性障害のリアルを一人でも多くの方に知ってもらうべく、夫との日々について語っています。過去記事をお読みでない方は連載スタートの記事から読んでいただけるととっても嬉しいです。>

みんなが僕と同じになった⁉

彼はこの状況を(冗談半分ではありますが)うれしそうに見ていました。世界が僕の基準に合わせるようになった!ほら見たことか、と。

・すべての場所に除菌スプレーが設置され、スーパーに行くときにはビニール手袋をして、買ってきたもので洗えるものは即座に洗い、洗えないものは除菌シートで拭きます。
・公共のものはなるべく素手で触れないようにし、ドアノブなどのよく触る場所は頻繁に除菌します。
・除菌剤はアルコール度数70%以上のもの、とくに医療用であればなお良いです。
・仕事は家からVPNでつなぎ、会議はオンラインビデオで行います。
・誰かと握手をしたり、ハグをしたりするなんてもってのほかで、コミュニケーションをとるときも2メートル以上離れる必要があります。人と道ですれ違うときはできるだけ離れるようにします。

これらはすべて夫がパンデミックになる前から行っていたことです。パンデミック以前は彼はかなり変な人に見られていました。が、いまでは世界中の人ができるだけこの指針に従うように求められています。

彼の”It should be”(そうあるべきこと)と世界の”It should be”が一致したんです。

一つ違うことは、世界はこの指針がイレギュラーなものであることを認めており、この生活が早く終わることを求めています。しかし、彼にとってはこの指針こそが日常であり、この生活が続くことを求めています。

万年1人パンデミックですね。

COVID-19にかかりたくない理由

だれも新型コロナにかかりたい人はいないと思うんですが、たぶんそれは、「病気になりたくない」「死にたくない」という理由ですよね。

どんな人だって簡単な風邪にさえなりたくないですし、ましてや肺炎はつらいですし、しかも死ぬ可能性があるなんて絶対に嫌です。

でも、夫の新型コロナにかかりたくない理由はちょっと違います。

万が一、感染してしかもそれが酷くなってしまい、入院を迫られた場合、いつもの強迫行動が制限されるからです。

病院という菌しかいないような場所に行かなければならず、知らない人にどんどん触られる可能性があり、それをリセットするための手洗いやシャワー、彼なりの除菌活動ができなくなってしまう。

それは”感染する”という事実よりも彼を恐怖に陥れるようです。

いつもより入念に

というわけで、いつもより入念に彼の除菌活動や回避行動が始まりました。

結婚したからには、私もそれに巻き込まれるわけですが…続きはまた次回へ。

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