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800字日記/20221115tue/129「本当の冬、始まる」
目覚める。朝八時。鼻にネコの息を感じる。がまた眠りに落ちる。九時に起きる。枕元にネコはいた。カーテンを開ける。畳が温まって、そこにネコは寝そべる。
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調子は悪くない。湿度がないせいか判らないが。書けるときに書いておく。だ。
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そうじを終えて、音楽を止める。ネコが赤ん坊のように甘えてくる。鉛筆立てに入った綿棒を、押し入れに投げ、猫じゃらしをキッチンへ放ったりして、騙しだましネコの注意を逸せる。膝に乗ってくるネコに犬の唸り声をあげる。
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筆が進み始めると不思議な体験をする。筋立ては決まっていたが、キャラの設定は白紙状態だった。が、ある女性軍医の過去を書き始めると彼女の親から一族の歴史、共和国の歴史が目の前に浮かびあがる。まるで砂漠の真下から古代の城が迫り上がってくるように。
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彼女の生まれ、子供時代、彼女の母が、主人公Kの出生に関与していた。幼い頃、彼女はKに恋焦がれる。彼女がなぜ軍医になったのか、そこまでメモって、一息いれる。
急いではいけない。ボツを量産するだけだ。絶対に欠かせないメモだけでいい。
冬の嵐の日本海、上陸直前、荒波がぶつかるゴムボートに兵士は乗っている。彼女とKとの経緯、ふたりの運命の再会、人生のクロス、兵士ら各々の思惑、脱北の疑惑、裏切り、巨大な陰謀、そこまででいい。
物語に登場する兵士はたったの十人。これからの作業にうなだれる。それでも書き始めて世界がするすると立ちあがる感動はモチベそのものだ。
ちょっと待った。
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これはぼくの日記だから、ぼくの体験を書いているのであって、これがすべてではない。
これは、作家の才能の質と書くジャンルによる。修正する力がある作家、事前に執筆で浮きあがる問題点を潰しておく為にプロットを立てる作家、それぞれがいるように。
筆が止まる。肌寒い。ロードバイクで外に出る。
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陽が落ちるのが早い。近くの公園に停めて、日没を眺めて、冷蔵庫にハンバーグがあった。帰る。
(796文字)
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