色メガネで客を見る店員 / Google口コミ
ペッツマックス 伊勢崎店
《色メガネで客を見る店員》
最初に。これを書くにあたってこの情報をGoogleマップに晒すことは誰が得するのか?
考えた。備忘録で日記に綴じておけばいいことかもしれない。
しかし、日記から抜粋してここに記す。
2024/10/20/sun/14:23ごろ
①構造的な里親問題。
②色メガネで見るショップ店員
②から。
私はベンガル猫(牡、四歳、去勢済み)を飼っている。数週間ほど前にこの店で私が飼うベンガル猫と同じベンガル猫(牝、一歳、去勢なし)を見かけた。あまりの毛並みの良さに驚いた。が、良く見ると成猫である。他の動物も成犬、成猫が多い。里親制度となっていて違和感を感じた。散歩の通り道なので立ち寄って何度か眺めているうちに情が移ったのか興味が湧いた。里親で真剣に考えるようになった。
私の考えではこうだった。毎日、その猫を抱いてみて猫が私に慣れたら里親になろう。私のお目当ての猫はベンガル種にしてはあまりに大人しい猫だった。逆にそれが私を心配にさせた。それと個体差はあるにしろベンガル猫の一歳では太っていると感じた(これは私の素人の感想である)。
この日は一度ウチの四歳のベンガルを抱いて重さを体感してすぐにこの店に出向いた。一歳のベンガル猫の重さを知りたかったわけだ。ちょうど、私がお目当ての猫のゲージを開けていた。それも前日に私の対応をした女性スタッフであった。顔も知っていると思って私は安心した。タイミングもちょうど良いと思い私はその女性スタッフに尋ねた。
「ちょっと抱かせてもらえませんか? 」
と声をかける。すると女性スタッフは猫を撫でながらこう言った。
「今、この猫ちゃんは抱かれたくないようですね」
私は、そのセリフに驚愕した。私は顎が外れて、その外れた顎を、じぶんの両手でハメ直さなければいけなかった。驚愕のあまり、もう少しで失禁する所だった。これぞまさに、驚き桃の木山椒の木であった。
百歩譲って、私は客である。このお願いは、ただ興味本位つまり動物園のカピパラふれあいコーナーのように幼稚園児が動物を抱きたいのではなくて、私はその猫の里親を希望するそれも客なのである。さらに言えば、この女性スタッフは、タクシーで言えば自分の都合で乗車拒否をするタクシー乗務員と同じサービスをしていることになる。ちなみにタクシーは原則として正当な理由がない限り、顧客の乗車を拒否することはできない(道路運送法第13条で「一般旅客自動車運送事業者に該当するタクシーは、運送の引受けを拒絶してはならない」と定められている)。
もうひとつ、私がこの女性スタッフが気になったのが動物の知識があまりに曖昧な部分だ。もう一つの点(割愛するが、その女性店員はあまりに動物の知識に無知だった件、餌を食べない猫と低血糖の猫との関連性)とその上に女性スタッフの客である私へのあまりのぞんざいな塩辛対応に、私は激怒した。その餌を食べない猫と低血糖の猫の件に関して、私はメールで知人の獣医に訊ねた。すると獣医の彼は「獣医学的なそのような関連性はない。少なくとも証明性はない」と言った。
しかし、私が激怒した真の理由は、あまりにいい加減な塩対応で私をあしらった件ではない。
「あなたじゃ対応できないから上司を呼んでくれないか? 」
と私が言うと彼女は、
「呼んできます」
と言って持ち場を去ったまま客である私を放置プレイしたことだ。
待てど暮らせど、上司らしき人間は来なかった。その上、当人の女性スタッフは私の前から消えたまま、バックヤードに雲隠れである。その間、わたしはゲームアプリを開いてボスモンスターを二回(も!)倒した。私は呆れ果てて、ミスターマックスのカスタマーセンターに苦情を言いに行った。
十数分後、ようやく、カスタマーセンターにペットショップの店長が現れた。へらへらとなんの悪びれもなく。まるでゆとり世代を超えたスーパーZ世代のように。
ペットショップの店長は三十代の男性で半年前にこの店の店長になったと言う。彼はそもそも数年間ずっと爬虫類専門で、犬猫の方面はノータッチである。スタッフの接客態度はぞんざいで客に呼ばれない限り、客を無視(見て見ぬふり)だ。店長は爬虫類や猛禽類は熱心だがスタッフの育成や管理にはまったく興味がなかった。
ところが実際に店長と話をしてみると、この店長の人柄はめっぽう良かった。こう言うタイプの人間に限ってだが、この国の前の総理大臣のように、人柄はいいけど店の長としては無能。みたいな典型であった。
①構造的な里親問題とは、私の邪推も入るが、こうである。なぜこんなに成犬、成猫まで育てた(ブリーダーから卸した)犬、猫で溢れているのか?
⑴ブリーダー家業の経営は厳しい。
⑵タネ猫(犬)で老猫(犬)まで育てるコストよりも一、二歳で手放して売る(キックバック)を得た方が収入(利益率・コスパ)が良い。
⑶可能性として、ブリーダーを廃業した。良く見ると、東京の都心で50万で売られているような毛並みの良い犬猫が15万でブリーダーから放出されている。そこにはある種の闇しか感じない。
最後に、結局店長に、私がお目当てのベンガル猫をゲージから私に渡されたのだが、彼は猫の扱い方がわからずに、私は怪我をした。驚いたのが猫のなかで最も動きが激しいベンガルの爪はまったく処理していなかった。客が怪我をして「すみません」もない。
「爬虫類が専門ですもんね」
と私は笑って言う。
「ええ、色々勉強になります」
と店長の彼は快活に笑った。まるでおもちゃを買ってもらったばかりの小学生のように無邪気に。私は、ニタリと笑った。
「あなたは爬虫類が専門ですものね」
と私はまた念を押すように言うと、彼は笑ってまた肯いた。
私はもう一度、笑って見せて、彼を少し待った。
彼はただニコニコと笑っているだけだった。
「どうぞ持ち場に戻ってください。スタッフの人手は足りてないんですよね」
私は言った。
「申し訳ありません。では失礼します」
店長の彼は言った。店長の彼は、店長の彼が本来いるべき職場の爬虫類コーナーへと戻った。
私は、彼が視界から消えるまで見届けて、首を傾げる。
私は目を自分の手のひらに落とした。手のひらに鮮血が、玉のようになって膨らんでいる。しばらく眺めた。
それから、ミスターマックスのサービスカウンターで手を消毒してもらい、バンドエイドを貰って、とぼとぼと家に帰った。