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800字日記/20221208thu/152「小隊」砂川文次 / 読書メモ

目覚める。天気はいい。午前中ペンパルに返信を書く。猫が甘えてくるのを手で払いながら図書館に電話をする。西村賢太の「暗渠の宿」を予約する。ついでメモ紙を見、砂川文次の作品はあるかと訊ねる。「小隊」はあるという。家をでる。

峠をのぼって山手から図書館へ着いた。「市街戦」と「戦場のレビヤタン」を予約して海に沿った国道を走ってスーパーで買い物をして帰った。

早速、本をひらき読み始める。時を忘れて一気に読み終えた。感想はない。自分に直結することのメモだ。読んで思ったこと、再確認や動揺したことを並べる。

⑴ 短編(中編)はどこが描かれて(省略されて)いるか?
⑵ 筆者が元自衛官(職業の強み、弱み)。
⑶ 一人称の強さ。
⑷ 冒頭の巧さ
⑸ 純文学への動揺。

筋はシンプル。
自衛隊の小隊長として釧路にいる安達はロシア軍(陸上部隊)と戦い、命からがら生き残る。

⑴ 前日のヘミングウェイの氷山の理論を頭に入れて読むと発見は沢山あった。長編を改稿する際に内容を変えずに尺を刈り込む作業。よくわかった。
⑵ これは強みだ。村田沙耶香が「コンビニ人間」で、バイト先のコンビニを描くことは聖域だと言った。じつはぼくにも聖域がある。過去ぼくは北イタリアと日本で発狂をし、それぞれ精神の閉鎖病棟に護送された。主治医にイタリアと日本での閉鎖病棟経験者は日本で蒼井さんだけ。講演ができると言われた。この閉鎖病棟のテーマは人称をどこから手をつけていいかわからない。いまでも聖域だ。
⑶ 巧い。一人称であるがゆえに視点に限界がある。作中、敵兵はひとりしか出ない。主人公は日常から戦場をくぐり抜けることで人間の生臭さを目撃し、成長する。
⑷ 後にタイピング日記に。
⑸ 読んでいて途中、ある情景が浮かぶ。

警察のバンの窓際に座って僕は病院へと護送されていた。僕は自分をかこむ五人の刑事に軽口をたたく。そのなかに別の僕がいて、冷静になったもうひとりの僕を見つめている。

まずは長編だ。

(800文字)



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