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800字日記/20221214wed/158「チト、一緒に居すぎじゃね?」

目覚める。寒い。寒波か。空は黒く、外の電線から滴がしたたるのが見える。この間、液体洗剤を部屋干しに替えたらいい香りで驚いたが、今日は線香の臭いが満ちる。和室をガラス戸でしきって夜の寒さに備える。がらんどうになった洋間でネコと遊ぶ。ベランダに出ると寒い。寒波が来たのだ。

昨晩読んだ小説のメモを書こうかと悩んでいると、窓ガラスが風でバタバタと鳴る。電線がビュンビュンとしなう。そんななか窓の外でトビが飛ぶのが見える。暗くなった雲の間から伸びる白い光を背に浴びて、空を旋回する。翼の先端を風に震わせ、ひるがえって、こんどは逆風に乗りあげてこちらに滑空してくる。アパートの頭上へ消える。

冷蔵庫にあるカタクチイワシ二尾と豚肉を一枚焼いて昼食に。眠くなる。食後、睡魔がこれほどテキメンに襲うのは病気なのか健康なのか。眠気を紛らわせるためにきんぴらを作ろうかと思ったがやめて、机に座る。昨日の日記をかく。眠りに落ちると思ったが一気に書けた。安心すると眠くなる。

目覚める。壁にオレンジの筋が映える。窓の外は、黒い絨毯のような雲の上は青空。黒い雲と青空のはざまにオレンジ色の光が挟まる。まるでハンバーガーにはみ出るチーズのようだ。膝に掛けた毛布を退けて、立ち上がる。そっとガラス戸を引いてベランダに出ようとすると、タン。押し入れの奥で寝ていたネコが畳に飛び降りた音だ。起きたか。

夕陽を眺める。ネコは床にグーをして背を伸ばしてからいつも通り道路のパトロール。

寒い。部屋にもどって机に座る。膝に毛布を掛けるとネコが飛び乗ってきて、ペットショップで初めて抱いたときとまったくおなじ仕草で前足を交互に動かしてふみふみする。

ググる。子猫が母乳を飲むときに母猫のおっぱいを踏むのが本来で、ペットはずっと母猫といるようなものだから安心している証拠。

もうひとつ調べる。夜、犬のように「アオーン」と鳴くのは… やはり発情だったか。
(800文字)

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