母ムーブメント覚書

1つのシャボンをわたしが
それからあの子がわたしとシャボンを
ぱちんと弾けてあの子が産まれた
赤い果実を分け与えて
あの子はどんどん膜の内側で
なにもかもが出来るようになってゆく
膜はいつのまにかうすくうすく
揺れているだけになった
1枚の白い紙を纏う
2枚の白い紙を纏う
人のかたちになっていく紙
色んな色が増えてゆく
カラフルに
わたしはそれを綺麗に丁寧に
ゴミ箱に捨てる
帰って来ては捨て帰って来ては捨て
あの子は今日も帰ってくる
今日も捨てる捨てる捨てる

待ってよ

つくりだす
あの子はつくりだす

いつかのあの赤い果実を

あの子は誰かとつくりだす
あの子は誰かをつくりだす
あの子は何かをつくりだす

思い出にお湯を注いであの子を見送る