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名前②
「死する存在」ーー
それが君の名前。
それが「人生」と呼ばれる、
ゲームの主人公。
顔や肌の色が違っても、
みんな同じ、
「死する存在」ーー
それが僕らの名前。
君が「太郎」とか、
「ジョン」と呼ばれようと、
生まれながらに、
一つの名前がある。
「花子」だろうと、
「ジェーン」だろうと、
「死する存在」ーー
それが君の名前。
学校を出た日、
彼は嘘を覚えた。
クールに振る舞えた日、
彼女は泣いた。
誰かを愛した日、
彼らは頑張ったけれど、
誰かと別れた日、
彼らは「さよなら」と。
「退屈を認めるのは、自分に
何の才覚もないということ」
だから人は、「マヨネーズソーダ」の中にだって、
「信仰」を見つけなければ。
「狂人だ」と怖がられ、頭を殴られても、
僕は痛くも痒くもないよ、
「死する存在」ーー
怯える彼らも、僕らと同じ名前。
「命」には限りがあるってこと。
そろそろ走り出さなきゃ。
手の中にあるものを、いちいち、
疑ってる暇なんてない。
誰かの後ろ向きな発言なんて、
火に焚べちまえ。
「死する存在」ーー
それが君の名前なんだから。
大人になった日、
彼は嘘を覚えた。
大人になった日、
彼女は泣いた。
大人になった日、
彼らは頑張ったけれど、
大人になった日、
君はーー。
誰かが、生まれて初めて絵を描く日のことを、
僕は「イメージ」する。
彼(彼女)は「円」を描く、
きっと、運まかせにね。
小さくて大きい、
太くて細い、
歪んで、
潰れて、
萎んで、
凹んだ円ーーーー
大人たちよ、
今夜は思う存分泣くがいい、
「『無垢』は死んだ」、
それが想像できたとき、死んだんだ。
この詩も終わる、
もう行く時間だ。
救急車の後を追っていく、
せっかちな運転手みたいに。
街の喧騒が、
フレームからアウトする、
「死する存在」ーー友よ、
その名を忘れるな。