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ジャスト・ワン・モア・デイ

ただもう一日だけ、
2人の時間を戻すことができたなら、
私は私の言葉に、
君の心の内をもっと投影できるのに。
夜明けが雨雲を招き入れ、
気象予報士がお出掛けの傘を推奨する。
私のインクは紙の上で、
雨ににじむだろう。
言葉が溶けていってしまうと、
何を言ったらいいかわからなくなる。
お願いだ、
2人の時間を戻しておくれ、
ただもう一日だけ。

レンブラントからオーティス・レディングまで、
私は何だって登場させようーー
様々な「他者性」を輪で繋げ、
2人の詩を華やかに飾りつけるのだ。
世界が約束に怯えながら、
お別れのキスをする。
アンネ・フランクは真実に死に、
J・K・ローリングは嘘に生きる。
投稿に遅れまいと詩人は、
路地裏を足早に駆けている。
お願いだ、
2人の時間を戻しておくれ、
ただもう一日だけ。

ガレー船の奴隷たちのうめきが、
私の声をかき消す。
選択の余地はもうない、
私は生き抜くために墓場をうろつき、
死者の剣を抜き、
死者の鎧を身につける。
他人の酒を飲み、
他人のユーモアで笑い、(また
次の水曜日まで、)
谷底を捜索するはめになるのだ。
お願いだ、
2人の時間を戻しておくれ、
ただもう一日だけ。

私の比喩がお上品ならば、
君をこの手に捕まえておけただろうか?
イメージは、風と共に散る、
ダグラス・サークも銃を持って出て行くーー

そして何も残らない、
二つの食い違った視界には。
紙の上のインクは雨に濡れ、
私の言葉は朝日に溶けてゆく。
この後、信仰は悪魔に会うのか、
それとも神を見かけるのか?
難解な文章だけが、
ピリオドを探している。
夏はじき終わるが、
空は依然灰色のまま。
お願いだ、
2人の時間を戻しておくれ、
ただもう一日だけ。

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