リトル・ボーイ・ロスト
1
一人のピルグリムは、「記憶」を失くしたーー
彼を取り囲む森羅万象が、
彼を「知っている」という「希望」を。
そして、成長の途中で、
彼は迷子となった。
それと同時に、彼は、「歴史」に捉われるーー
彼を取り囲む森羅万象が、
彼を「投げ捨てる」という「深淵」に。
そして、寿命の途中で、
彼は奇妙な幽霊になるーー
隊長が、子供たちをテントに集めた、
ケンカ相手も親友も、みんな笑顔、
ある夏の、晴れた日のキャンプーー
雲は真っ白、そよ風がそよぎ、
空は真っ青、川が流れ込む、
「ノーティ・ボーイズ」のハートの奥底へ。
ーーそんな「素敵な魔法」は、
どこに行ったのだろう?
彼らの「無垢」とは、
一体なんだったのだろう、
そして、それは何故消えたのだろう?
すべては、猛スピードで回る夢、
床にぶら下がり、天井にしゃがみ込め!
離れては近づき、近づいては離れる、
すべては、猛スピードで回る夢、
それは、「『記憶』を辿る旅」に違いない、
(おお、私の「アニマル・ゾンビ」よ)
それは、偉大な旅ーー
彼を待っている、
偉大な旅が、
彼を待っている、
偉大な旅がーーーー
2
「ムーン・イズ・アップ」に、
「ミスター・ムーンライト」、
それから「ムーンライト・ドライブ」。
大好きだった歌を口ずさもう、
子供の頃に耳にした「歌詞」こそ、
僕らの「無垢」の断片だーー
「ムーン・イズ・アップ」に、
「ミスター・ムーンライト」、
それから「ムーンライト・ドライブ」。
命が消滅し、空をピンク色に染める。
夜の彼方に太陽が、沈む場所を探す。
人の生涯は短い、瞬きする暇もない。
3
「世界一不幸な母親」を、
外へと連れ出し、
留まるよう仕向けたのは、
「記憶」という名の幽霊。
静かな夏の夜、
魂がかつての光を放ち、
彼女の目を涙で満たしたーー
こんな淋しい場所で。
彼女の息子は「歳を取るのをやめ」、
「巡礼」を続けたのだ、
あらゆる扉を開けて、
やがて、その内の一枚に隠れた。
彼女は母親として中に入り、
息子の冷たい肌に触れたとき、
息子の旅は終わったのだーー
こんな淋しい場所で、
とても淋しい、この場所で。
4
もう追いかけたって無駄さ、
あの子は行ってしまったんだ。
可愛い赤ちゃんも、大人になり、
いずれは家を出てゆくんだ、
家、イエイ、家を。
ベランダや居間を探したって無駄さ、
あの子が決めんだんだ、放っとけよ。
子供は月の満ち欠けのように単純じゃないし、
いずれは家を出てゆくんだ、
家、イエイ、家を。
5
冒険者たちは、家族を置き去りに、
みんなどこかへ旅立った。
彼らはいつか見つけるのだろうか、
愛する人々の涙よりも貴重な何かを?
君は遺影、イエイ、遺影を通り抜けて、
空気の中を漂っているけど、おおイエイ、
また墓の下に戻るんだろ?
壁を叩いたり、椅子を動かした後で。
さて、
「午前0時30分、僕は酔ってる」、
部屋の壁を、「ほとんどブルー」に塗っている。
読者も疎な『note』に、好き放題書きながらも、
夜空の冒険者たちに、不満をぶちまけるーー
「出てゆくのは勝手だけどね、
俺がただひとつ許せないのは、
死を選ぶにせよ、生きていくにせよ、
自分だけが苦しんだって顔をしてるとこなんだ」
君は遺影、イエイ、遺影を通り抜けて、
空気の中を漂っているけど、おおイエイ、
また墓の下に戻るんだろ?
壁を叩いたり、椅子を動かした後で。
6
かつて、一人のピルグリムがいた、
かつて、一人のピルグリムがーー
今もなお、旅を続けている、
森羅万象へとつながる旅を。
さあ、少年よ、しばらく眠るといい、
明日もきっと、荒れ野をさまよい、
旅を続けるのだから、
森羅万象へとつながる旅を。
かつて、一人のピルグリムがいた、
かつて、一人のピルグリムがーー
7
少年よ、君は行くのだ、誰もいない道を。
「記憶」に隠された、「無垢」を辿る旅路を。
そう、君は記憶を失くしただけさーー
君を取り囲む森羅万象が、
君を知ってるっていう記憶を。
そして、成長の途中で、
君はただ迷子になっていただけさ。
少年よ、君は行くのだ、誰もいない道を。
「記憶」に隠された、「無垢」を辿る旅路を。
8
いつかこの家に、
偉大な旅が、君を連れ帰るだろう。
そのとき、君は気づく、
「生まれる」ということ自体が、
最も「素敵な魔法」であることを。
そして、永遠に繰り返すのだ、命は、
「よい一日を」。