柴田聡子「愛の休日」に魅せられて
柴田聡子さんが好きすぎる。
柴田聡子さんがすき。なんか、とてもいい。形容できないほどすき。完全に沼にはまって抜けなくなった。自分から進んではまる沼は楽しい。
4thアルバム「愛の休日」に魅せられてしまっているこのごろ。とにかくなんかいい、なのだが、できる限りでも言葉にしないと伝わらないのだ。
未熟なのは百も承知だが、徒然なるままに、好きなところを書き連ねるだけ書き連ねてみたい。
4thアルバム「愛の休日」
スプライト・フォー・ユー
初っ端からこんなに最高で…大丈夫ですか?甘くてほろ苦くて、心ぐらぐら揺れますけど、大丈夫ですか??とこぼれてしまうほど、素敵。
富士山見れて うれしかった いなか者だからね
これがまずいい。素朴な気持ちって気づいたら忘れてしまうけれど、心の奥のどこかで忘れないものなのかもしれない。なにか懐かしいものを、思い出したような気分になる。
結局なにも撮れなった とっくのとうに日は暮れて
マウンテンデュー・フォー・ユー
あるとうれしい泡の飲みもの
スプライト・フォー・ユー
たまにうれしい泡の飲みもの
このフレーズにて感傷がマックスに。初めから、快いため息。
後悔
ああ、きた、あの曲がきた ねえ、いま、きみも気づいた?
まず、イントロから最高。このドキドキの開始地点だと予感してしまうメロディーよ。それからつながるAメロ、どんどん高まってキュンキュンが押し寄せるサビ!!
ああ、バッティングセンターで スウィング見て以来 実は抱きしめたくなってた
これほど、胸がきゅんとしてしまうフレーズはあるのだろうか。愛だの恋だの、好きだなんだという言葉は一言も出てこないのに。「実は」抱きしめたくなってた、ところがとても好き。私もこんな風に言葉を紡いでみたいものです。
合いの手の、”へいっ はっ ふぅっ” も大好き。この気合の入り方、勢い、なんでもないけどただ楽しいね、という感じが滲みていると思う。
ああ、抱きしめていれば 抱きしめ合ってれば 自然と本気に
抱きしめてくれたら 抱きしめていれば 抱きしめ合ってれば 自然と本気に 抱きしてめてくれたら
終始明るいけれど…なんだろうこの切なさは。
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大作戦
これも、イントロから最高頂。ドキドキの序章。ロマンチック坂を転がり落ちていく。どんどん加速してゆく。
なんだか知らないちからが湧きます いいことしか起こらない気がする
まさにその通り!と思わず叫びたくなる。サビの”大成功する”の強弱の感じも、ドキドキの連続。
きっとこの角を曲がればそこにはパピヨンいるはず
世にも不思議な飼い主がパピヨン散歩してるはず
ここからの奇想天外な詞のシリーズがとってもとっても好き。なんだろう、意味は理解できないのにこの納得感は。この曲は、はじめから最後まで思考とことばつなぎと勢いから、あふれ出る楽しさがほんとうに大好き。
スタンドには、応援団いる、野次馬たち入る、好きな人がいる、こわい人がいる
それぞれの言葉への息のこめ具合の違い、特に「好きな人」のところはドキドキとワクワクで胸がいっぱいになってしまう。100m9秒で走るのもわからないけれど、そういう勢いになる感じになるのは共感できてしまう。最高な気分。
あなたはあなた
この曲は、リズムはポップで柴田聡子さんらしいのに、なんだかさびしい雰囲気をまとった曲のように思う。
人のきもちとして間違っている
頭が足になるような 奇跡が起こらないかぎり
ぼくの悩みはまちがっている
ぼくのいらないものを欲しい人はいませんか
ぼくの欲しいものをいらない人はいませんか
このあたりの歌詞、切実さのようなものが逃げてしまいたいくらい心に響く。単純に共感という言葉に収められないくらい、自分の気持ちへ直球で来てしまう。素直に、本当にストレートに歌われているからこそなのか。
嫁さんもらわずに 毎週出かけてゆくって
このフレーズ、なぜかぐっとくる。なぜだろう、風のように去っていくメロディーと他人口調なところが調和して心に感情を押す波がやってくるような。
お母さんも知らないような香り
ここの声の高さと息の乗せ方がほんとうに感情を高ぶらせる。「お母さん」にこめられた親愛と、「知らないような香り」にこめられた甘さと切なさのようなものを感じる。
願望をいろいろ伝えたいんだけど、あまり言えない主人公の割り切ったような、でもまだ割り切れないような、なつかしさと恥ずかしさとを抱えつつ昔の日記を読んでいるような気持ちになってしまう。
天使を見てる
この曲は、全体に漂う飄々とした感じと間奏が好き。
きれいなきもち
ここに至るまでの気持ちにどんな山と谷があったかはわからないけれど、このいまある穏やかさに救われる。
かなしいの集めを やめられないのは なんでだろうね
理由を聞きたいんじゃないんだよね、たぶん。いいことばかりじゃないよな、と自分にも重ねてしまうこのフレーズに惹かれる。
遊んで暮らして
女らしくなったって言われてみても 男やってたつもりないけど
まず、このフレーズに注目してしまう。なんだ、このかゆいところに手が届くような、いきなり変化球を受けたような感じは。とにかく、ちょっといつも引っかかるけれど見逃してしまうような気持ちを一つ一つ拾ってもらえた、とこっちまで救われたような気持ちになる。
遊んで暮らして思いつくのは らららとるるるとらららだけ
このフレーズの哀しさ、テンポのよさ、自分は関係ないんだよとでも言わんばかりの感じ。あなたと私は違う世界の住人なんだよ、私はこれしか生み出していないというか、これだけのもの生み出しているというか、とにかくそういうことなんだよ、と言われているような気持になってしまう。
あの人はここで生まれて育った 家族はみんなやさしい人で
このフレーズから始まるBメロの、入ってきて落ち着くまでの雰囲気も心揺れる。突然に死が出てくるのか、いや、もしかして突然ではないのか?
ゆべし先輩
ゆべし先輩 春が来たらお別れですね先輩 社会人
ゆべし先輩 残業終わり街をとぼとぼ先輩 先輩
ほんとうに感傷的になり過ぎて困る。白い肌、黒い肌がよく出てくるけれどなんだろう。陸上部からテニス部にいった先輩、どの辺りがかっこよかったのだろう。でも、とにかくいい。
柴田聡子さんの吐息がふんだんに含まれた「せんぱぁ~い」が、背伸びした私のこころを思春期のあのころのきもちまで引き戻す。間奏のギターのところもすてき。
青春のわすれものって、どんな人のこころにもあるのだろうか。いわゆる「青春っぽい」経験があるかどうかは関係ない、あの思春期特有の生きるか死ぬかの瀬戸際ぎりぎりで毎日歩いている感覚が呼び返される。戻りたくないけれど、なんだか懐かしくなってしまうあの日々って、何なのだろうか。
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思惑
あ~、ほんとうに奇妙な中毒性のある柴田聡子ワールドに惹きこまれちゃう典型的な曲なのかもしれない。まず、えっと…かっぱと出会うのでしょうか?まあいいとして、かっぱとお店に行こうかなんて思ったことある人…いますでしょうか。こんなにも現実味がなさそうなのに、なぜか身近に感じてしまう。かっぱにも、かっぱと出会う主人公にも共感して入り込めてしまう。
世の中全然思惑通りに いったらいったで 1,2,3,4!
このフレーズの中毒性ったら、なんなんでしょう。好きすぎる。
忘れたい
ポップだ。かつ、切ない。一見つながりのないように思える詞から感じられる懐かしさはなんだろう。”忘れても””忘れたい”が何度も出てきて、飽きてしまいそうなものだが、「何回でもくり返してください」という気持ちになる。むしろくり返すことで、愛おしさが増しているような気がする。
おしゃれなコーヒーカップ もらいものだけで生きてる興奮 神様指差し笑っている もっともっと笑ってよ もっともっともっと
私はこのフレーズが何となく好き。もらいものだけで生きてる、ってところが特にいいなと思う。笑ってよ、って思わず言ってしまう乾いた気持ちと、隠れている切実さが胸にせまる。
さばーく
温泉が出るんだ センスだけで掘ってやんだぜ
ポリカーボネイト
どの詞も好きなので悩むが、特に好きなフレーズ。どうしてこんな謎とも思える言葉つなぎで、これほどに曲が生き生きとするのだろう。他の曲よりももっと歌詞のテンポ感がよく、つながれた言葉たちが踊る様子が目に浮かぶ。大好き。
言っちゃうばかも 言えないばかも
どっちもばか のうなしの憂い
”うれ~い”の歌い方が好き。歌詞も、本当にそうだなって思ってしまう。人間ってなんで恋愛して好きとか言えちゃうのかな、そっちのほうが幸せだよと言わんばかりに。最後に”すき~っぷ”をくりかえすのも、切なさと気持ちよさといろいろな想いが溢れてしまうので大好き。
リスが来た
終始、不思議だ。相変わらずよくわからない。なにかしらの不思議なワールドに引き込まれて、森の中を気ままにあっち行ってこっち行って遊んでいるような気持ちになる。ゆらゆらして気分がよい。
ダイエットしながら 太ってんじゃねー!
…ってなに!?!?リスが悪口を言いながらくるって、なに…?しかも、この詞が自然に馴染んで切ない歌になっているのは、どんな魔法がかかっているのだろう。
コーポオリンピア
コーポオリンピアってなんだろう。この曲までくると、「ああ、アルバム終わってしまう…」と悲しい気持ちになる。穏やかな気持ちでまだ柴田聡子ワールドにいながら、もうすぐ出口ですよっていう感じ。夏休み、夕方五時になると鳴る夕焼け小焼けのよう。
もちつもたれている
この詞が特に好き。もっちっつ、という歌い方が好き。この曲には「生きているとはなにかをするされるの関係があること、ただし無常である」という考えが根っこにあるのだろうか。諦観、無常観を感じる。わからないけれど、愛。
愛の休日
ころころころころ転がって ころころころころ斜面を
みんなに会いに 羽のように 星のように
曲調は弾けて派手になったと思いきや、柴田聡子ワールドの不思議さ、迷宮に入り込んだような感じは続いていて安心する。不安定な感じの高音も、吐息の割合も、音符やことばが踊り狂っている感じも、ぜんぶすてきすぎる。奇想天外にみえて、ゆるいようにみえて、緻密な世界観が創り上げられているように思える。
最後に、柴田聡子さんをおすすめします
多幸感に浸りたい人は、ぜひ聴いてみてほしい。センチメンタルな心の片隅を刺激されてふらふらになってしまいたい人は、聴いてみてほしい。圧倒的にセンセーショナルな荒波にのみ込まれたい人は、聴いてみてほしい。いや、全人類聴いてみてほしい。柴田聡子さん。ひとりひとりのための柴田聡子さん。大好きだ。
最後までよんでいただき、大変ありがとうございました。
しがない未熟リスナーの駄文でしたが、楽しんでいただければ幸いです。
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