「より大きな課題が解決できれば、自分も社会もハッピーが増す」
LEXUSのウェブマガジン「VISIONARY」にて、山形県鶴岡市のバイオベンチャー・Spiberの取材をしました。「これまで世界になかった選択肢を──
Spiberの挑戦」という記事です。いや〜、これがまた、考えさせられる取材で。今日は語らせて。
「より大きな課題が解決できれば、自分も社会もハッピーが増す」とSpiber代表の関山さん。ものすごくポジティブタイプな方なのかと思いきや、「中学3年の頃、『自分が生きていることって、あまり意味がないな』って思ってしまったんです。人類の歴史、宇宙全体の歴史から考えたら、人ひとりの人生はあまりに短い。寿命まで生きても、今死んでもそういう長い歴史のなかでは点みたいなものだと思ったんです。でも、だからこそ逆に今死ぬ意味もないなと思って。せっかく生きるならどうすれば一番幸せな状態で生きていけるのか、そのために最も合理的な行動をしていくべきだと思ったんです」
高校生のある日、鶴岡市のサイエンスパーク構想を語る慶應技術区大学環境情報学部教授の冨田勝氏の講演を聞いて、「僕が探していたのはこの人だ!」とすぐに「駅まで鞄をもたせてください!」と飛び込んでいったという関山さん。こうやって自分の求める物事にすぐ反応できる素直さや柔らかさを、思春期の頃から持っているのはすばらしいと感心してしまいました。
関山さんは慶応義塾大学幼稚舎からエスカレーター式で大学に進学しています。「受験勉強をしなくてよかったのが、考える時間を与えてくれた」とも話しているのを別のインタビューで読みました。確かに私も「受験勉強さえなければもっと本を読めたのに……」と思うこともしばしばだなぁ。そうやって考えると、私のやってきたいわゆる普通の受験勉強って、一体何だったんだ、と思ってしまう。ちなみに、関山さんは冨田教授に出会い、SFCに入るために「理転」して猛勉強したそうです。そういうときに自分の学ぶ力が最大に発揮できるのが望ましい受験勉強のあり方だと思うのです。
2020年の教育改革で、受験が、学校がちゃんと意味のある方向に変わるといいなぁと思います。一見無駄に思えること、例えば授業と関係ないことをじっくり考えるとか、寄り道するとか、悩むとか立ち止まるとかも含めて、子どもたちが生き生きと人生を歩んでいける力をつけられるように、そういう意味で学校で過ごす時間が無駄にならないような場所になってくれたらいいなということを心から願いわずにはいられない、そんなことをつらつらと考えたインタビューでした。
(今日は長いよ。まだ続く。)
ある日、息子が「ねえ僕の将来の夢、何にしたらいいと思う? 僕は警察官か、歌手か、ロボットの研究者になりたいんだけど、あと探偵とか夢が多くて決められないからお母さん決めてよ。あ、お母さんが悩んでること何? それを助ける仕事やりたい」などと言うので、関山さんの言葉を思い出して、息子に話しました。
「だからお母さん一人の悩みより、人類の悩みとか、地球の悩みとかを考えて、それを助けてあげることを考えるといいみたいだよ、お母さん、そういう考え方、すごいなって思ったよ」と話したところ、8才の愚息がよどみなくこう返すではありませんか。
「お母さんも人とか地球とかの役に立つことをしたいと思う? じゃあ、お母さん、まだ30代じゃん? 仕事終わるのは60なん才でしょ? だったらまだ30年ぐらいあるから、お母さんがやりたいと思ったらなんでもできると思うよ。もしお母さんが本当にやりたいことだったら、やったらいいと思うよ。」
そうだよね、確かにあと30年あれば、人の役に立つことの一つや二つ、できるはず。託す前にまだまだ自分でやることがありました。反省して頑張る。