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室伏広治さんのことが大好きな米国ハンマー投げ選手
8月4日。男子ハンマー投決勝が行われる。
個人的に期待しているのは今季世界ランク6位(Road to Tokyoのランクは2位)、全米オリンピック選考会で優勝しているルディ・ウィンクラー。
彼は全米オリンピック選考会で82m 71のアメリカ記録で優勝。東京五輪の切符をつかんだ。
優勝会見で「室伏広治さんが2004年に作った82m65のヘイワード記録も更新しましたが。室伏さんはあなたにとってどんな存在ですか」と質問してみた。
投擲内容や技術、また東京五輪の抱負などを話していた時は、緊張した面持ちだった。しかし室伏さんについて聞くと、とろけるような満面の笑顔になってこう言った。
「え、そうなの??知らなかった。コージの記録破っちゃったの?それはすごく光栄。コージがアテネ五輪で金メダルをとったように、僕も彼のような選手になれるようにがんばりたい」
笑顔が完全にとろけて、大きな体躯をモジモジさせていた。
「東京五輪でコージに会えるかな。会いたいな。会えると思う?会いたいって伝えてほしい」
私に言われても、と思ったけれど、室伏さんのことが大好きなんだなぁと伝わってきて、こちらもとてもうれしくなった。ウィンクラーだけではない。以前、フロリダ大学のハンマー投の選手たちも「コージに会いたい。Youtubeでコージの投擲を見て勉強している」と話していた。室伏さんの投擲、また姿勢は多くのハンマー投選手の目指すところで、投擲選手のアイドルなのだと思う。
投擲種目の選手はハンマー、砲丸、円盤、やりなど自分のものを持参する。ちなみに商売道具なので、砲丸や円盤は預け入れ荷物に入れず、手持ちにする選手もいる。
こんな場面に遭遇したことがある。ある砲丸選手が、ピンクの巾着袋にいれた砲丸を空港でセキュリティでひっかかり、こんな会話が展開された。
『これ、なんですか?』
『砲丸です』
『砲丸?』
『砲丸です』
『何に使うんですか?』
『投げるんです』
笑うのを我慢しすぎてお腹が痛くなったけれど、本人たちはいたって真面目でそれがとても面白かった。
そして自前のハンマーや砲丸は、ほかの選手が希望した場合、共有しなければならないらしい。「え??」と思うけれど、棒高跳びなどではポールが届かなかった時は貸し借りするので、まぁ、当然といえば当然なのだけど、なんだかちょっとびっくりする話である。だが実際に棒高跳のポール以外、貸し借りをしたという話を聞いたことはない。それはサイズ的に空港で失くしものなどにならないからだと思う。
が、こんな話を聞いたことがある。アジア大会もしくはアジア選手権のようなアジアの大会に室伏さんが出場した際、ほかの選手が室伏さんのハンマーを使いたくて列をなしたという。
コージのハンマーはとても新しくて、使いやすいらしい。じゃぁ、俺も。俺も、と。自分のハンマーを使わずに、室伏さんのハンマーで投げた選手がたくさんいたと聞いた。選手たちに確認する術はないけれど、室伏さんにあやかりたい、もしかしたら記録が伸びるんじゃないか、と思ったのではないかと思う。記録が伸びた選手がいたら、「ああ、やっぱりコージのハンマーはいい」という連鎖になったのではないかと思う(あくまで想像だけど)新しいハンマーだったのに、みんなが使ったことで、ボコボコになったとも聞いた。
男子ハンマー投決勝は8時15分から。室伏さんは忙しい役職に就かれているので会場にいらしているか分からないけれど、室伏さんがびっくりするような記録を出せるように、みんながんばってほしい。