いざカンボジアへ

おっさんとの旅行へ行く日、私たちは日暮里で待ち合わせた。

今回は他の旅行客も一緒のパッケージツアーにした。二人きりよりは安心だし、おっさんはパッケージツアー以外行ったことがなかったから選択肢がなかった。
ツアー代はおっさんが払ってくれた。一人15万くらいだった。

日暮里の駅構内にあるパン屋で朝食をとった。朝食も、そこからのスカイライナーのチケットも払ってくれた。港区おじさんなら当然のエスコートでも、おっさんにとっては精一杯なことだった。むしろ、港区おじさんなら家まで迎えにきてくれるか。

私は少しかわいいピンクの封筒をおっさんに渡した。

「私はまだ学生でお金もありません。なので、これが精一杯ですが、今日から5日間よろしくお願いします」

おっさんは少し驚きながらも受け取った。でも、中身は見なかった。見ろよ、結構入ってるんだから!と、19歳の私は思った。とりあえず半分は払おうと思ってバイト連勤して稼いだ7万円だった。

そして私たちは旅に出た。

私にとって初めての男の人と二人旅行。

おっさんも彼女いたことがないから、多分初めての女の子と二人旅行。

私たちの凸凹で歪な関係はピタッとハマっていた。