NHKの庵野監督の特番を観て
今回は、庵野監督の見せ方が前回よりわかりやすく変わり者だけどいい人。というところにクローズアップされているように感じました。
前回の反響を受けてでしょうか。ナレーションがなく、密着資料映像の切り貼りで構成されていました。
コミカルなナレーションが無い分、制作現場の空気感がよりリアルに感じられたのがよかったです。庵野監督が面白いと言っていた、周りの人の戸惑い、葛藤、焦り、不安、そして庵野監督への期待がひしひしと伝わってきました。
前回は表面から見た、庵野監督への感想ばかりで結局は彼が全てを握っている。作品作りへの執着のために全て捨てているかのようでした。でも、今回は周りの人はそれだけじゃ無いことを知っていることをちゃんと知れました。
庵野監督と作りたいから作品を作っている、振り回されているが、それが大事な瓦礫作りだとわかっているのが丁寧に描かれていました。もちろん、前回の放送でもそれは読み取れてはいたけど、本人の口から聞くのはやっぱり違います。
シン・エヴァンゲリオンからわかる通り、庵野監督は人が想像するような作品づくりだけのためにほか全てを捨てる人ではないと思います。
人と人との関わりが必要で大切なものだということもちゃんと知っている。関わることで嫌なこともあればいいこともあると知っている。
というか、物語は人と関わった経験がなければ作れません。
改めてシン・エヴァンゲリオンを生み出せたのは本当にすごいことだと感じました。日々生きている中で、曖昧に感覚で掴んでいる生きることの喜怒哀楽をひとつの作品として作り出し、主人公のシンジくんは無事に彼の答えを掴み取りました。
シンジくんの人生を25年間追体験できて本当に楽しかったです。これからも何度も観るし、感情移入するキャラクターが変わればこの作品は見方が何度でも変わる作品だから、この先一生楽しめる作品です。そして観ている時、都度思い出したいです。どんな背景があって作り出されたものなのか。
前回より濃密に描かれた楽しいドキュメンタリーでした。私はこっちの方が好き。