見出し画像

モンテ・クリスト伯感想 2

※ネタバレ含みます。

父の言葉

許婚式の場から連れ去られたダンテス。

残された父親。

彼は、ある言葉を口にする。


「さあ、さあ、希望をもつんだ!」
自分でもなんの意味ともわからずに、ダンテスの父がそう言った。

(アレクサンドル・デュマ作山内義雄訳「モンテ・クリスト伯一」p.85岩波書店)


この「希望」という言葉。

この父親の言葉こそ、最大の伏線だった。

しかも、最終巻の名言と対を成している。


優しく聡明な父親。

久方ぶりに戻ってきた息子が、無実の罪で囚われてしまった。
誰よりも悲しく、誰よりも苦しみの底にある父親。その父親の口から思わず漏れたその言葉が、その後の息子の人生を暗示しているとは。
復讐の発端となる、その場所で。

ここから先は

1,451字

モンテ・クリスト伯の感想です。 1巻から7巻まで、感想と個人的な思索をまとめました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?