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モンテ・クリスト伯感想 10

アルベールの楽観主義

誘拐されたにもかかわらず、ぐっすりと眠りこけるアルベール。
モンテ・クリスト伯は、それを見て思わず微笑する。ここはダンテスの本音だろう。
メルセデスの息子らしいと思ったのかもしれない。

起こされると素直に喜び、モンテ・クリスト伯に握手を求めるアルベール。


モンテ・クリスト伯は、差し出された手に身震いする。

ここの描写は秀逸だ。
人間の心理を的確に描いている。
害意を抱き近づくモンテ・クリスト伯に、無邪気に手を差しのべるアルベール。

モンテ・クリスト伯が身震いしたのは、自信の良心による。

鉄の意思で復讐を誓ったモンテ・クリスト伯だが、
その実、罪の意識を常に振り払おうとしているのがここで分かる。大袈裟な高笑いも侮蔑の言葉も、やはり自分自身に言い聞かせているのだ。

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1,636字

モンテ・クリスト伯の感想です。 1巻から7巻まで、感想と個人的な思索をまとめました。

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