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モンテ・クリスト伯感想 11

ネタバレ含みます。

オートィユ

モンテ・クリスト伯とメルセデス、フェルナンの再会。

年齢を35歳程度に装った理由はメルセデスに気づかれない為。一瞬で気づいたメルセデスも年齢差に確信を持てない。
フェルナンも全く気づかず。

 その後、ヴィルフォールの秘密を暴く、問題の地オートィユへ。

ベルツッチオを追い詰めながら、ヴィルフォールの過去へと迫る。

その場所で何があったのか。

この場面では40代そのものの伯爵が、家令と気兼ねなく語り合う場面が面白い。

庭園の椅子に腰を下ろし、落ち着いた少しユーモアを含んだ物言い。

 この章には二つの場面で共通する点がある。

フェルナンの「忘恩の態度など取らない」。

ヴィルフォールの「報復の法則」。

それぞれの言葉。

悪人には共通点がある。自らの運命を自分の口で呟く。自らの悪事を自分の口で呟く。

ここでは、アリ・パシャを裏切った恩知らずがモルセールであり、報復の法則に裁かれるのが、悪の検事ヴィルフォールだ。

それぞれの言葉が自らの未来を予見している。

悪人は自分が行う悪事を、他人も当然行うと考えている。
そのため悪人は悪人に陥れられる事が少ない。

善人は、まさかこんな事はしないだろうと思っているから陥れられてしまう。

 歴史をみれば明らかだ。

 優れた人間ほど悪人に奪われ、陥れられ、閉じ込められ、歴史の表舞台から消えてしまう。

 それが、どれほど社会の損失だったか。

過去に失われた英知が、もし自在に活躍していたら、世界の歴史が変わっていただろうと思う。

本当に惜しい。

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2,412字

モンテ・クリスト伯の感想です。 1巻から7巻まで、感想と個人的な思索をまとめました。

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