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過ぎ去った冬にあてた詩をなんとなく残しておきます。 忙しなく日々をやり過ごしていればいつのまにか冬を飛び越えてしまっていて、あと幾日かすればもうあの寒さを思い出すことはしばらくないのだろう。どんよりとした日がだんだん少なくなってきたと同時に、わたしの毎日も少しずつ光が射してきたように思えてしまうのが、春。肩に力をいれることなく、ふわふわと外を歩くことができる。うれしい。わたしはもうあなたがいなくても充分に自分を褒めながら生きているのだ。 欲しいのは、温もりでも、慰めでも、
いま、 「批判されたい」と思っている。 人の目を常に意識し、評価されることを恐れ、 大切な人にも意見さえ求められなかった人間が、 急に、「批判されたい」と思っている。 起爆剤は、 福岡から上京してきた友人と、その友人(まさかの初対面)と、3人 夜通し語った日のこと。 友人とその友人は、福岡の同じ専門学校に通っていて 友人(以下 S)は映像 その友人(以下 T)は写真 と、それぞれ別の学科で学んでいる。 Sとは去年の夏に知り合っていて、 今回はひょんなことで、3人で酒
「簡単な食事を作って昼食を済ませる」 少し前に読み切った小説になんども出てきたこの、「簡単な食事」。わたしは最近それに憧れている。 主人公はフリーランスの校正者で、家で作業するからお昼はパスタなど簡単に作って済ませる、というそれだけのことなんだけれども、なぜか魅力的で、それから料理するときは幾度となく思い出してしまうようになった。 だからわたしも今日の夜は、簡単に作って、済ませてみた。 じゃーん お皿をたくさん使うと、こっているように見えるけれども、そんなことなくて
発車ベルが鳴り終わったとて、ぎうと身体を押し込む新宿。シンと冷えた外気とサヨナラするまでの一時、足元の、そのたった数センチの隙間に知らぬ誰かの人生を想う。 aoiasa -20190220 #日記 #エッセイ #写真 #コラム #ライター #随筆 #詩 #ブログ #恋愛 #note #photo #essay #執筆 #朝 #青い朝 #aoiasa #デザイン #design #イラスト #illustration #手書き #新宿 #東京 #冬
恋人とさよならをした。 となりにいても、手を繋いでも、 抱きしめても、笑っても、 いつも寂しくてたまらなかった。 本当は、幾度も手を振っていたけれど そのたびに許してしまうのは、 ただの諦めでしかなかったのかも。 ずいぶんずるずると引きずったのに 幸せにはなれなかったな。 これからも 幸せにはなれなかったよ。 ふたりで過ごす時間のすべてが、いつもどこか寂しかった。 - aoiasa 20190213 #日記 #エッセイ #写真 #コラム #ライター #随筆
大抵の人間が幼いときから統一化されたフィールドの中で生きてきたというのに、 「オリジナリティが無い」と却下されてしまう世の中に違和感を感じることがある。 統一化は同時に ある意味での差 を生み出すけれど、内輪で生まれたそれはオリジナリティなんていう複雑なものでなく、単に 個体差 でしかないということを本当は誰もが解りきっている。 違和感を感じる人間は自分から考え行動しなければいつまで経っても抜け出せないが、軍隊のように足並み揃えた社会の中に順応していくのがやはり相応しいの
がらんとした電車は良い。 朝は、ただ、人間を運ぶことに徹している鉄の箱が いくらか余裕を持ち始め、まるで「茶でも飲むか」と言い出しそうな空気感がおかしくて好きだ。 快晴とは言えないが、天気も良く過ごしやすい陽気で どこかで春を含んだ風が、発車を待つ車内にやわらかく流れていた。 生きることが重たくなってしまった日、わたしは仕方なくそういう電車に乗る。 PM 3:50 何駅か過ぎると、私立の小学生がわらわらと乗り込んできて、空いてる席に散った。 きちんとした制服に、型
成人になったので 父と母からそれぞれ、膨大な写真を譲ってもらったのだけど、整理しようにも、感情が先走って手に負えない。 むかし母がデータ化してくれたものを手始めに、目を腫らしながらちまちまファイリングしている。 すべては、確かにわたしがそこに生きていたという なによりの証拠で。 ひとつひとつが愛おしくてやわらかくて、 記憶に無いほどなつかしくて、 これはまさに言葉にできない、 という言葉だって、浅はかすぎる。 こうしてみるとなんだかもうわたしはいろんなことがどうでもよ
あの頃、雨というものはかならず憂鬱だった。 眠りから覚めると同時に目を開けずとも 「今日は、雨」とわかってしまうから、 そうなるとあとはもう駄目だった。 行くべきところに行かずして済む理由をいくつか、 ふわふわと頭に浮かばせる頃、大抵、 生真面目で冷酷なスヌーズが安易な私を急かす。 目を開けたとて 部屋に差しこむ光さえ、やる気が無いように思えた。 家の中ならまだしも、外はもっと駄目だった。 普段の、ひろがりのある青には くすんだ白がべたりと塗りたくられ 空間の閉
僕らには、忘れられない夜がある。 今日をやり切れなかった夜 猫を撫でていた夜 必死で机に向かう夜 タクシーを走らせた夜 人生に絶望した夜 不安でどうしようもない夜 最終電車を蹴った夜 ソファで寝ていた夜 映画に救われた夜 考えても答えは出ない夜 風呂の湯が冷めた夜 意味もないのに呟く夜 コンビニへだらだら歩いた夜 小説を読みふけった夜 好きだった人との夜 誰にも言えないような夜 僕らには、忘れられない夜がある。 そういう夜を越えたとき 決まって、朝は青かった。 -