【名作 朗読】『夢十夜』第六夜 夏目漱石
漱石の『夢十夜』を朗読中です。
YouTubeに第一夜から順次アップしてます。
ご興味のある方は是非YouTubeチャンネル『ノラらTUNE』の方に遊びに来てください。
第六夜 (ここクリックすると動画に飛べます)
結局
人の心の
「感動を発動させるスイッチボタン」を
その作品が
どれだけ多く持ち合せているかが
甲乙を付ける材料になったりします。
共感性や神秘性
意味深さや奥深さを
あるように魅せるだけでいい。
あの大書もあの名曲も
実はそれだけのものでしかない。
すごいと思われているモノは
実は幻想でしかない
そんなことを考えている
うつつのわたしですら「幻想」
私には
そう言い切っているように感じた作品が
第六夜の夢です。
多分、明治以降の人々(現代人)の
感性や人間性の堕落を描いたと解釈するのが
折り目正しく判り易いのですが
それだけを描いたわけではないでしょう。
人の数だけ、成長の数だけ
解釈や感じるものが内在している作品が
この世にこれだけあることに
幸せすら感じます。
――みなさんは、
下馬評連中と同じ中に居た
現代を生きる主人公が、
「運慶が今日まで生きている理由」を
本当に解ったと思いますか?
私の好きな俳優さんに
山崎努さんという方がいらっしゃるのですが
彼がある本の中で
今心がけていることについて
以下のようにおっしゃっていました。
「謎。人間には、どうしても理解できない
謎の部分がある。
無理なこじつけをしないこと。
謎は謎なのである」
第六夜を読んだとき
彼のこの言葉を思い出しました。
主人公が
運慶が今日まで生きている理由を
解ったと言い切るものだから
読者もその理由を読み取ろうと
しがちなのですが
これは漱石の罠かもしれませんよね。
本当は誰も
何もわかっちゃいねえ。