妙案
妙案
母が洋食屋さんに入って行ったので、
僕も続くと、店内では、
みんなが隠すように熱心に、
お祝いの手紙を綴っていて
「これからここで、結婚式の前に、
友人たちとお祝いをするんだ」
と僕は思いながら、
母が座った席をさがしていると、
どうも手紙を綴っている何人かは、
僕の学生時代の友人のようで、
ならなぜ僕は、
ここに呼ばれなかったのだろうと、
結婚する二人の名前を確認するために、
気を配りながら前の方へ行くと、
どちらも知らない人だったので、
僕は安心して店を出ました。昔、
薬局や電器屋さんの
前などにあった人形に、
母は少し疲れたように、
寄り掛かって立っていました。
それからすぐに、父がやって来て、
「カツカレーを食べよう」
と言いました。
母も僕も、そんな気分ではなく、
「それも良いけれど」
と言ってはみたけれど、
何か妙案が
あるわけではありませんでした。
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