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深夜の落語と、闇に浮かぶ月
深夜1時に目が覚めた。筋肉痛で眠れない。
ふくらはぎと足首が痛いのなんの…
仕方が無いのでテレビをつける。和牛の冠番組を見終わりチャンネルを変えると「平成紅梅亭」が始まるところだ。
嬉しい。ああ見たいなぁってなんとなく思っていた「平成紅梅亭」、まさかこんなタイミングでテレビで見られるとは。
これが引き寄せの魔法ってやつか…?
窓の外には半月が浮かんでいる。
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出だしはこの方、神田松之丞。「扇の的」
講談師ですが、この方も私がずっと聞きたいと思っていたので幸運。まさに魔法。
一瞬、噺の一節を聞いただけでぐっと世界に引き込まれる。なので最初から最後まで聞くのは嬉しくもあり、ある意味では恐ろしくもあった。
はり扇を巧みに使い、テンポよく話を進める。ひととおり聞き終わったあとは「はぁーー!良かった!!すごかった!」という爽快感でいっぱいになる。テレビの前で思わず拍手をし続けてしまった。
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次は円楽師匠、「そば清」
円楽師匠は笑点のイメージしかなくて正直「どうなの?」と思っていた。しかしそれは浅はかな考えであった。
…
結果から言うとたまらなく素晴らしかった…
そして講談→落語と聞き、やはり(聞く分には)私には落語が合っている と思った。
テンポよくポンポンと進める講談も良いが、しっかり、じっくりと静かに楽しめる落語の方がすき。
もう一度、次は生で円楽師匠の噺が聞きたい。
ふと外を見ると、月が真上に動いていた。
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3人目は春風亭一之輔、「あくび指南」
これはさっきの「そば清」とは違い、ケラケラと爆笑できる噺でした。
深夜に真っ暗な部屋で爆笑する女。
恐ろしい。
なんといっても声が良い。「おぅーい船頭はん」という台詞の「おぅーい」の部分が渋くて、何回も聞いていたかった。
私は低めの声で静かな話し方をする人が好きです。
あくび指南がおわり寝っ転がると、真上にある月は見えなかった。
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トリは三平、林家三平。「浜野矩随」
この人も同じく笑点のイメージが強い。
しかし噺の中で、声だけでなく顔も違う人みたいにコロッと変わる。すごい。
同じ人なのにそこに3人くらい居るような。
そう感じさせてくれる。
「浜野矩随」は人情噺でした。
素晴らしかった。
最後は気持ちよく終わり、満足感・幸福感でいっぱいになりました。
そしてまた夢の世界へ…
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目を覚ますと、そこにもう月はいなかった。
また今夜も月に、そしていつかまた、昨夜のような特別な夜に出会いたいものだ。