#FE名古屋 2019-2020シーズン振り返りHC&代表インタビュー②オフシーズン~開幕前振り返り
本日は序文だけだと思ったかい?
↓前回記事
2.オフシーズン~開幕前振り返り ①就任とAC問題
― シーズン前やプレシーズンの時期からお聞きしたいと思います。まずは6/28のHC就任の流れですが、発表コメントなどからも、かなり急なものだったと推測しています。
坂口代表(以下、坂)
元々は、チームの成長を考えてもヘッドコーチ(以下、HC)やアシスタントコーチ(以下、AC)をコロコロ変えるのは良くないと思っていて、もう1年渡邊・川辺体制を継続して、次のオフ(※つまり今頃)に禅譲という形を考えていた。しかし、当時のコメントにもある通り渡邊前HCの家庭の事情もあり、退かざるを得なくなってしまった。
そこで川辺くんに「急な話で申し訳ない」としつつHCとしてのオファーを出し、引き受けていただいた。
そこで問題となったのはスライドして空いたACのポジション。その時点では我々が求めるようなACを探すのは不可能だったので、申し訳ないけど1年間、B級ライセンスを持っている高村選手にAC兼任をお願いして乗り切る決断を下した。(※ ベンチにB級ライセンスを所持した人間を置かなければいけないというリーグ規定あり)
― ACの条件という言葉が出てきました。差し支えなければどのような条件であったか教えていただけますか?
坂
細かく言うと色々あるけど、ザックリ言うと3点。一つ目は川辺HCのやりやすさを考えると、川辺HCと同じくらいか若いくらいの歳の方であること。
二つ目はうちでのHCとACの役割分担を考えると、ゲームの分析能力の高い方であること。
三つ目は、選手への指導で言うことを聞かせる上で、指導者としてもしくは選手としての実績を備えた方であること。
― お聞きする限り1と3は矛盾しやすいように感じますし、その選定の難しさが不在につながってしまったということでしょうか。
坂
そうなるね。今現在は、選手も指導者になりたい人がいっぱいいるけれどなかなかライセンスを取るのは難しい。
一方、現在ライセンスを持っているのは学校の先生が多くて、トップレベルの指導や分析をしたことがない方が多い。
AC募集をしているという情報は流していたから売り込みはあったんだけど、結果としてさっき言った大きい条件の2つ以上を満たす方も見つからなかった。
― 結果として坂東マネが半ばACのような役割も担っていました。
坂
坂東は目を赤くして、そんなに向いてないと思っていたんだけど、一生懸命分析して頑張っていたよ(笑)
②編成と外国籍選手選定
― さて、この辺りと並行して外国籍選手を含めたロスターも、7月末のベンジャミン・ローソン(以下、ベン)で固まる形となりました。外国籍選手も含め、編成についてはHCとしてのリクエストはあったのでしょうか。
川辺ヘッドコーチ(以下、川)
正直なところ、日本人選手はあらかた決まっていて、ジョシュも決まっていて、あとビッグマンをもう1人どうするか、というところでバトンをもらいました。
ただ、その時期はS級ライセンスの講習で4週間ほど東京のトレセンに籠もっていましたので、現地には足を運べなかったし、合間合間に映像を見るのが精一杯という状況でした。
僕としては豊通の伝統でもあるアップテンポなバスケを崩したくなかったし、僕自身もそういうバスケットが好きで、かつピックアンドロール(以下、ピック)中心のバスケットに挑戦したかったという思いがあります。
また守備面では、昨季まではピックの守備に対応できないビッグマンが多かったので、ハーフコートラインくらいから相手をつかまえて守れるビッグマン、攻守でピックに対応できるビッグマンという条件で探しました。
その条件で、候補の中ではベンが一番適格であろうとなり、彼に決めることになりました。
坂
ベンについては夏の間アメリカでNBAを目指して活動していたから、その時点で契約しようとするとかなり高かったと思う。
ただ、こういうのは時間が進むと相場が変わってくるので7月末に金額的にも条件が合って、加入にこぎつけた。
③トレーニングとプレシーズンゲーム
― その後キャンプからプレシーズンに入っていきます。この間、アーリーカップ辺りまでの状況はどうだったんでしょうか。
川
先ほどの話とも重なりますが、7月1日に練習が開始した後しばらくの間、僕はS級ライセンス講習で不在にしていたので、坂東と高村に練習を見てコントロールしてもらい報告を受ける、という形で始まりました。
その後は外国籍選手はいつも合流が8月になるのでそこからがチームを仕上げる本番になります。
ただ、チームとしては初めてのシステムをやっていくということで、外国籍選手が合流する前も、細かいところをひたすらやり続けていました。
例えばオフェンス時のスペーシング(※ 攻撃時に適切な距離を保ち、味方や自らがプレーしやすく相手が守りにくくすること)とか、スクリーンをかける場所、かけ方、かけるタイミング、などを念入りにやりました。
ピックは今の小中学生の方が指導を受けてよくやっているかもしれなくて、むしろ今プロをやっている年齢層の選手のほうが細かい指導を受けていないことが多いです。プレシーズンまで、攻撃に関してはほとんどの時間をそこに費やしました。
一方、守備については昨年やっていたことは大きく変えず、強度をいかに上げるかという考え方でトレーニングを積みました。
― その後、何試合かの練習試合やプレシーズンゲームを経て、9月14日からアーリーカップを迎えます。茨城、三河と力試しをするにはもってこいな相手との対戦でしたが、このあたりの結果への手ごたえはいかがだったでしょうか。
川
やろうとしていることは出来ていたということではありますが、一方で対戦相手側に、こちらに対応する準備が出来ていなかったというのも間違いないと思います。
今季はピック中心の戦術をやり始めたところです。この戦術は相手が対応してきたときに、そこに対してさらにこちらから対応して効果を出すことを、タイムアウトをとらなくても修正できるようになるようにすることが一番大変なところです。
シーズンに入って最初のうちはその修正が出来ずバタついて苦しんだのですが、アーリーカップについてはそもそも相手が修正してくることがなかったため、変な形も通用してしまい上手くいっているように見えた、というのが正直なところだと思います。
坂
この時期困ったのはジョシュと杉本が怪我をしていて出られなかったこと。せっかくこれだけの相手に対して色々試せるタイミングなのにその機会を与えられなかったのは今思えば痛かった。
川
チームの今季の戦いかたを固めていくタイミング。しかも今季は新しい戦い方を作っている真っ最中。
その状態で主力中の主力である2人を欠いたのは、その後序盤戦のチームの戦い方に大きな影響を与えてしまったように思います。
(つづく)
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