闘鷲降臨~ひ弱。(19-20GAME7~8)#FE名古屋
Game1 FE名古屋 72-79 広島
1Q残り5分からのスコアが2-21。HCのコメントにもある通り、これが全てという試合でありました。
Game2 FE名古屋 67-69 広島
前日とは違い、足が良く動いていた最初の15分。しかし、#19ベン・ローソン のファウルトラブルにより状況が一変。後半はミスを繰り返し、逆転を許す結果となりました。最終的には2点差でしたが、勝負になった瞬間は1度もなく、完敗と言っていい内容でしょう。永遠の半馬身。
ラグビーとバスケを見て技術の意味を知る
昨日、ラグビー日本代表はスコットランドに競り勝ちプールAを全勝で突破。史上初のW杯ベスト8進出を決めました。破った相手には格上と目されていたアイルランドとスコットランドが含まれること、格上への勝利が極めて難しいとされるラグビーの競技特性を考えると、日本代表は本当に強くなったのだ、ということがよく分かります。
以前日本のトップリーグを現地で見たことがあり、その時も思ったことですが、ラグビーのように身体接触が許されている競技では、「身体的圧力をかけられた状態での技術」こそ真の技術なのだと感じさせられました。厳しい圧力の中、いかにボールを正確に扱っていくのか。ラグビーでジャイアントキリングが起こりづらい理由は、格下のチームがそうした圧力に耐えられない場合、ボールを運ぶ段階で多くのミスが発生し、まともな攻撃にならないということに尽きるように思います。
この「圧力をかけられた状態、強度の強いところでボールをいかに正確に扱うか」というのは身体接触のあるフィールド・コート型のボールゲームであれば、サッカー、バスケ、ホッケー、全てにおいて共通ではないでしょうか。
そういう意味で、広島とのこの2試合は、現状における両チームの強度の違いが如実に表れていました。ファウルぎりぎりの圧力をかけられた状態でシュートを決められた広島、決められなかったFE名古屋。FE名古屋の強度の不足は今に始まったことでもありませんが、早くも課題を突き付けられた格好となりました。
強度の維持へ、HCの悩みは深い
では、強度はいかにして生み出されるのか。私見ですが、
1.選手の身体的強さが備わっていること
2.選手がやるべきプレーを理解し、精神的準備ができていること
3.その日の試合の中で、体力的リソースを消費していないこと
以上の条件が必要であると考えています。1は対戦相手との相対的なフィジカルの差の問題。2は #川辺泰三HC の言葉を借りれば「チームルールの徹底」の問題。3はスタミナマネージメントの問題と言えるでしょう。そして、現在のFE名古屋の問題は、特にビッグマンのところで、これらの3つが相互に作用して相手に後れをとっていることにあります。
もともと、今季の2人の外国籍選手、#24ジョシュ・ホーキンソン とベンについては、身体的接触の強さという意味ではけして強い選手ではありません。その代わりにこの二人には機動力と、動き続けられる勤勉さがある。それを活かすために、ヘルプディフェンスとP&Rを多用したシステムで、フィジカル面の弱点を覆い隠そう、というのが今季のチームの主な狙いだったのではないでしょうか。
しかし、このシステムにはいつどこでヘルプに行くのか、それとも捨てるのか、という高い判断力が求められます。また運動量の維持を求められるために体力消費が激しく、さりとて40分間試合に出るために運動量を温存すれば守備のどこかに穴が空いて機能しない、そういう問題を引き起こしやすいやり方となるのです。
こういった問題を起こさないようにするために必要なのは、セカンドユニットとして出てくる選手が強度を保つだけのプレーを行うこと、なのですが、残念ながら現状、ベンチに座っているビッグマンの面々は、上記の1,2両面において全く川辺HCのお眼鏡に適っていないのでしょう。実際、2戦目にベンのファウルトラブルで出場時間を得た #15ソウ・シェリフ はほんの数分の間にコート上で迷子になる状況で、出番が限られているのもさもありなん、という有様でした。
川辺HCがいう「チームルールの徹底」を考えると、両外国籍選手を休ませづらいという状況であることは理解はできます。その一方で、いくら若い2人とはいえ、今季のバスケをするうえで40分間出場することが前提になることは良くありません。蓄積疲労による怪我の原因を作りかねないだけでなく、2人の中での少しずつの温存がチームの攻守の強度を押し下げ、今節や熊本戦のようなチームの出来のムラを作ってしまうことにつながるからです。
同じようにムラが出来てしまうのであれば、前後半5分(2~3分ずつ2人を休ませる計算)だけでも、on1とシェリフや日本人ビッグマンで耐え忍び、勝負どころに2人のリソースを使えるようにするような起用。川辺HCのやりくりと、現在信頼と出番を勝ち取れていないビッグマンたちの奮起に期待したいところです。