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闘鷲降臨~21-22シーズン選手別レビューVol.14 ブライアン・クウェリ #FE名古屋

まさに、「困った時の」。

#41 ブライアン・クウェリ ~停滞した時に頼りになったその勤勉さと技術

 昨オフFE名古屋が行った大補強。その掉尾を飾ったのは、ブライアン・クウェリの加入発表だった。群馬のB1昇格におおいに貢献した彼だったが、野﨑同様いったんリリースされていた状況。かねてから川辺HCが過去の編成についてインタビューなどで「ここぞという時にインサイドでポイントを作れないのは厳しいと思えることがあった」というニュアンスのことを発言していて、編成サイドがリクエストに応えた形だと言えよう。実際今季の編成では高さのあるビッグマンは他におらず、リバウンド力、頑強さ、そしてインサイドでのフィニッシュの器用さに対し白羽の矢が立った形であると思われる。

 大きな期待をもって加入したクウェリであったが、序盤は順風満帆とは言い難かった。コロナ関連もあって入国・合流が遅れたことからなかなかチームと合わせたトレーニングが出来ず、フィットするのに時間がかかったことが響き、序盤は数字は残っていても「噛み合わない」印象の残るプレーが多かった。そういう意味で、実は度々あったエヴァンスルークの代表選による離脱は彼にとっては良かったのかもしれない。チームとしては苦しいタイミングだが、そこで試合で試していく時間で連携もみるみる向上。クウェリ自身の勤勉さもあって、貴重なビッグマンとして、特に得点が停滞した状況をインサイドでこじ開けるという役割をしっかりこなしてくれた。

 一方で浮き彫りになったのが「機動力がない」という大きな弱点であった。特に「3ビッグでのオールスイッチ」の戦術をメインに据えてからは、スイッチをすることで彼と小さい選手の間でスピードのミスマッチが生まれてしまうことがネックになることも多く、中盤以降多くの試合で出場時間が20分弱だったのはそのあたりの部分を考慮されてのものだったと考えられる。それでも彼の頑強さとサイズは貴重で、特に越谷のバッツのようなビッグセンターを相手にする際はこれほど頼もしい選手もいなかった。

 昇格に大いに貢献しつつ、前年同様再契約がされなさそう、というのはおそらくそういう機動力の部分と、年齢の部分がネックになってきているのではないかと思われる。が、だからといって彼の今季の貢献が色あせるわけではない。速攻の先頭を切るスピードはなくとも、相手のビッグマンの前を走る勤勉さは、今後チームに来るビッグマンにも求めたい、そう思わせるものがあった。真面目で気さくで優しく、闘う大男のこれからに幸あらんことを。

Photo by おくかず

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