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星の内側、空の中

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光が瞬く音がする。

風が頬をなで、夜の匂いが鼻腔に香る。

独り、青い草むらに立ち尽くし頭上を仰ぐ。

耳に、目に、鼻に、脳内に染み渡る情報の数々が。

どうしてこんなにも空虚な胸の内に染み渡るのだろう。

ゆっくりと、右手を星の瞬くカーテンへかざしてみる。

指の隙間から儚い瞬きの数々が、目に向かって落ちてくる。

痛みはなく、ただその光景に胸がざわつく感覚に、ほう、と息が漏れる。

人の手は、太陽にかざすと血潮が見えるという。

では、夜に翳せば、そこには何が見えるのか。

弱く、それでも確かに瞬いている光に透かして目に届くものは、自分の身体の何かではなくて。

髪を攫う風が、足もとの青い草むらを揺らし遠くへ過ぎ去っていく。

自分の足では辿りつくことの出来ない、遠い何処かに。

暗闇の中を。星の瞬きを受けながら。

静かに、確かに、過ぎ去っていく。

そうして風が自分の元へ運んできた匂いが、鼻腔を満たすたびに、つん、と涙が視界をにじませる。

ふと視界の端で、涼やかな音が聞こえる。

音を伴って現れたのは、夜の空の中、一番輝く白い月。

月の光は、自分の周りを照らし、景色の彩度をより鮮やかに彩っていく。

そして、星の内側から観測できる弱い瞬きの光たちは、姿をぽつぽつと消していく。

視界が白く開けると同時に、瞬きが尾を引くように姿を消すその光景がまた、胸をしめつけて、思わずぎゅっと目を固く瞑る。

あぁ、自分は、確かに生きている。

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