talking病気がちガールを夏
言葉にしたら何かが変わってしまう気がして何も言えなかった。
そうやって飲み込んだ言葉たちが腹の底に溜まっている。
バイトの何が不安なのか考えてみたら、優等生だった頃の私に戻らなきゃいけないと思ってるからだった。
ちゃんとやらなきゃいけないと思いすぎている。
山口コンボイの、バイトで食洗機にかけちゃいけないコップを食洗機にかけてしまって、大量に割れたコップを隠すためにそのまま全部ゴミ箱に捨てて怒られた話を思い出してちょっと元気をもらった。
意味のない自分を許せない。
私について何か思ってほしいけど何も思ってほしくない。
意味のないことをしたい。
誰の期待にも応えたくない。
綺麗だと思った景色を写真に撮ってしまったときの虚しさみたいなものをずっと抱えている。
意味を求めて腕を切って、傷跡しか残らなくて悲しくなった。
くだらない会話で笑おう、ちゃんと死ぬときの話もしよう、みたいな感じで生きていたい。
意味のあることしか許せないけれど、本当のことは誰にも言えない。
ドラマとかでよく見る独白のシーンをあんまり直視することができない。
本当のことは私だけが抱えていていいものなのだけれど、でも、いつか誰かに話してみたい。
そのときが来たら笑って聞いてほしい。
生理のとき、心じゃなくて体由来の不安を感じる。
お腹が痛い。子宮内膜と一緒に何かが剥がれ落ちている気がする。悲しい。
これは私のせいじゃない、ホルモンバランスのせいだ、と何度も自分に言い聞かせる。
20年かけて歪んでしまった思考のくせをまっすぐにする。
さすがは20年かけてできたくせなだけあってすぐ元に戻ってしまうので、その度に立ち止まって丁寧に考える。私の問題と相手の問題を混ぜてしまわないようにする。
私の問題と相手の問題を混ぜて考えないということは、相手をひとりの人として扱うということだと思う。
私が何を言うかは私の問題で、それをどう受け取るかは相手の問題で、その受け取られ方にどう思うかは私の問題で、私は私の問題だけをどうにかすることができる。
薬を飲むようになって、体調が良くなったから初めて今まで体調が悪かったことに気がついた。
私のつらさは薬1錠分のつらさなのか、と思った。
ずっと気持ちが落ち込みそうなのを薬によって落ち込まないようにさせられている感覚があって、いつか1錠分のつらさを超えたら簡単に苦しくなってしまえる気がして少し怖い。
なんにも大丈夫になっていないのに気持ちだけが落ち込まなくて虚しい。
それでも薬のおかげで生活を送れるようになった。
生活は続けていかなければならない。
夏はきっとまだ終わらない。
どうやらこの死にたいとは一生向き合うしかないみたい。
あなたと話してない間にも、ただ手紙の返事を待つだけの時間のような愛おしさを感じている。
風に含まれる水分が少なくなってきた。
違う街に住む大切な人たちのところにも同じ風が吹いているのだろうか。
その風がなるべく優しくあればいいなと思う。
窓のない部屋、風が通り抜けた。